
受付:年中無休9時~18時(AI準備中)
6月22日(木)に開催されたマンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議(宇杉 真一郎委員長)のなかでマンションの相続税評価について、市場価格との乖離の実態を踏まえた上で適正化を検討するための協議が行われ見直し(案)が示されました。
相続税等(相続税・贈与税)における財産の価額は、相続税法第22条の規定により、「財産の取得の時における時価による」こととされており、これを受け、国税庁では財産評価基本通達に各種財産の具体的な評価方法を定めています。
財産評価基本通達に定める評価方法については、相続税法の時価主義の下、より適正なものとなるよう見直しを行っているようですが、マンションの「相続税評価額」については、「時価(市場売買価格)」との大きな乖離が生じているケースも確認されています。
また、令和5年度与党税制改正大綱(令和4年12月16日決定)に、「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」旨が記載されました。
これを踏まえて、マンションの相続税評価について、市場価格との乖離の実態を踏まえた上で適正化を検討するため、本年1月に有識者会議が設置されています。先月第3回有識者会議を開催し、見直し案の要旨について有識者等交え協議が行われました。今後、今までの会議の内容を踏まえ、国税庁において通達案を作成し、意見公募手続を行う予定のようです。
この問題は、今後の国の増税路線にも関連する内容ですのでので国税庁発表の資料を引用して皆様にお伝えします。
見直し案に関する算式も掲載されていましたが要は市場価格と比べて相続税評価額が低いマンションが多いからそこに関しては評価額を上げますよということです。
今、国の方向性は明らかに増税に傾いています。内閣府に置かれた政府の税制調査会が、6月30日、「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」と題する答申(諮問に対する回答文書)を取りまとめ、岸田文雄首相に手渡しました。その資料には、通勤定期、退職金、失業・生活保護給付、フリマサイトでの売上、ギャンブルの払戻金更には給付型奨学金まで税負担が例示されています。サラリーマン増税と報道され支持率が急降下するなか岸田首相は否定しましたが、過去の流れを見ると今後、課税対象になる可能性も十分あると考えます。
そして相続税も今のシステムがいつまで続くかはわかりません。実際、平成27年1月1日以降に係る相続税の基礎控除額(非課税枠)が当時の現行より40%も減額されることになったこともありました。まさに“大増税時代”を迎えそうな状況です。ご存知の様に今の日本の政治家は、スキャンダルだらけであり自己保身と選挙での当選が第一という状況です。こまでくるとさすがに大人しい日本国民も今の政治体制を考えなければいけないのではないでしょうか?
武内新市長の100万人復活宣言の道のりは非常に厳しい現実
北九州市の人口は減少の一途を辿り6月1日現在の市の推計人口は91万7988人にと発表されました。4月に1963年2月の市制施行後、初めて92万人を割り込み現在に至ります。
武内新市長は、北九州市人口100万人復活を目指し手腕を振るうという事ですが道のりは非常に厳しいものと思われます。街の将来を担う20代・30代の若者の市外流出が続いている現状をどう食い止めるかということが重要なキーになると考えます。もちろん行政頼りだけでは効果は低いことから地元経済界との連携や私達市民の意識改革も重要だと考えます。この世界の現実は、人間の共同意識が反映して創造されていると思うのです。厳しい道のりですが、是非新しい風で北九州市をもう一度再生することを期待します。
若年人口の減少は、市の活力の低下につながりそれは、市民生活に影響する自治体の運営にもマイナス要因として表面化してくることになります。不名誉なことですが、行財政アナリストの磯道真さんが作成した「自治体財政状況ランキング(2022年版)」で全国にある1741自治体のうち、「貧乏自治体」のベスト3に北九州市が入っています。
政令指定都市で大きく人口減少が続くうえに自治体財政状況ランキングでも財政悪化率3位という状況のなかで今後の北九州市の運営は厳しい状況が待ち受けています。
財政悪化の自治体ランキングでも全国第3位の深刻な状況
どのくらい厳しいのかという事で、磯道真さんが作成した「自治体財政状況ランキング(2022年版)」のなかで北九州市に関連した記事を一部引用させて頂きます。(文春オンラインより)
巨額の借金を抱える北九州市の行方
巨額の借金を抱える北九州市の行方
一方、都道府県から事務や権限を移譲されて仕事量が多いのに、地方交付税は小さな市町村に手厚いため割を食った格好なのが政令市だ。財政状態は総じて見劣りし、1人当たり実質債務が3位の北九州市(104万円)などは、実質債務自体が5年前と比べて増えている。
2017年度から小中学校の教職員の人件費負担が都道府県から政令市に移管されたことや、2019年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートしたことも影響している。後者は、公立の保育所と幼稚園についてはすべて市町村負担となり、財政の圧迫要因となっている。名目上は財源とセットだが、政令市は待機児童の問題もあり持ち出しが多い。
1兆円を超す地方債残高を抱える北九州市は、「過去にかなりの規模で投資を行ってきた」(財政課)と認める。風力発電関連産業の拠点整備などに注力し、SDGs(持続可能な開発目標)の先端都市として評価されている面はある。
これまで年700億円以上使ってきた投資的経費について、2021年にようやく「620億円以内に抑える」(同)方針を決めたが、地方債残高は維持するのが精いっぱいで、「5年後に見直す」(同)としている。その間も、環境工場(ごみ処理施設)は別途200億~300億円かけて整備するというから、財政は当分健全化しない。
以上 文春オンライン記事より一部引用終わり
管理組合の財政状況も悪化が心配される・・・個人のライフプランも重要
上記のように、政令指定都市で大きく人口減少が続くうえに自治体財政状況ランキングでも財政悪化率3位という状況のなかで今後の北九州市には非常に厳しい道のりが予想されます。特に高齢化の進展がスピードを上げて進む北九州市は活力の低下が進んでいるように感じます。
このことは北九州市内のマンション管理組合の平均年齢も上昇することになりまた年金生活者の割合も増加することになります。現在の管理組合運営の流れ(積立金の初期設定金額の低さ、先送りになりがちな改定問題、第3者管理方式等の導入等)から考えると管理費・修繕積立金の改定が必要な管理組合の割合は年々増加すると思われ対応できない管理組合が今後発生する可能性があります。国もこの事態を危惧しており最悪の場合スラム化・税金を使用した行政代執行による建物除去など管理組合だけの問題では収まらいことになりかねません。
そうなって対応しても時既に遅しということになりますので今後のマンション管理組合の事業計画、長期修繕計画等を踏まえた各組合員のライフプラン(個人の生活設計)をシュミレーションしていくことも重要ではないかと思います。まだ一般的ではありませんが今のような先行き不透明な時代では個人のライフプランを立てるということは非常に有意義なことだと思います。ファイナンシャルプランナー(FP)等に相談すればレベルの高い提案書を作成してもらえますが今は個人の方でも利用できる無料ソフト等もありますのでそれらを利用して自分なりに作成されるだけでも今後のリスク管理にはなると思います。
マンション管理会社の不祥事は相変わらず発生しています。先月マンション管理会社の元部長が横領の疑いで逮捕されました。今回のような表に出てくるのは一部であり小さな事案や示談、気づかれないケース等表に出ないケースを入れると実際は相当数あるのではないかと思います。
今回の容疑者(管理会社の元総務部長)は、2016年から2018年にかけて、埼玉・三郷市にあるマンション管理組合の口座から10数回にわたり合わせて1200万円を自分の口座に入金し横領した疑いがもたれています。警視庁によるとこの容疑者は、このマンションの管理会社の元総務部長で、横領した金は高級クラブでの飲食費や旅行費に使っていたということです。調べに対して「全て業務において使った」と容疑を否認しているようですが、警視庁は他にも1000万円以上の余罪があるとみて調べているということです。
過去、管理会社による横領や着服、不正支出等が問題になりマンション管理適正化法が制定された経緯があります。しかしながら相変わらずこのような事例が後を絶ちません。
過去実際に起きたケースの手口を一部ご紹介すると
①大手の管理会社が、修繕積立金の保管口座の残高証明書を偽造していた。
性善説で考えるとまさかという手法です。
②理事長印を偽造して不正に支出
これも悪意に満ちたやり方です。
③修繕工事の見積書と照合後に、修繕積立金口座の払い戻し請求書の金額を修正した。
これも管理組合の信用を逆手にとった悪質なやり口です。例:1の数字を4や7に修正
④修繕積立金を引き出した後に、業者への支払いを装う領収書を偽造
管理組合の特質(脆弱性)を知っている管理会社(担当者)の手口
⑤理事長印を捺した白紙の払い出し請求書をあらかじめ管理会社に渡している。
実際に現在でも行っている組合があるのではないでしょうか? あまりにも危険な行為
そして
⑥押印するのが面倒で理事長印を管理会社の担当者に渡しているため、引き出されてしまった
あまりにも不用心すぎるの一言です。
上記は、手口の一部です。これ以外に様々な手口で管理組合が被害にあっています。
このように管理組合の資産を狙う手口は性善説を信じている多くの方には想像できないものではないでしょうか。特に、近年は、日常の修繕費や大規模修繕工事の執行による、契約自由の原則を利用した不相当な金額での承認・受注などそのやり方は、専門的視野で監視しなければ防ぐことが難しい状況になってきています。
このような状況に管理組合としてどのように対応すべきでしょうか?
まず言えることは、
管理組合の運営に無関心で、管理会社任せにしていると、悪意を持った人間が、皆さん(管理組合)の大切な資産に手をつけてしまうかもしれません。
どのような事情があるにせよ犯罪行為は許されることではありませんが、横領や着服等の不正行為を未然に防ぐ若しくは最小限に食い止める環境作りはできると思います。(予防法務)
たとえばいくら親しい友人だからと言って無造作に札束をテーブルの上や目につく所に置きっぱなしにして家に招くというのはある意味犯罪を助長しているともいえる行為で危険です。
莫大な修繕積立金を前にして、輪番制で専門性の乏しい役員による管理会社丸投げのマンション管理では、心が動く人間が後を絶たないというのも事実なのです。
そこでこのような不正行為を防止するためには、管理組合のチエック体制と財務管理の強化が重要だと考えます。決算時の監査以外に定期的な監査・監視体制の構築、会計・出納業務のスキームの厳格性、外部の専門家の活用などの対策が求められます。その結果、隙のあった管理組合の組織が変わり管理会社にも緊張感が生まれてくることになります。
そしてマンション管理組合の健全な運営を実現するためには、組合員同士のコミュニケーションや協力も重要になってきます。各居住者が管理組合運営に関心をもつことにより、居住環境の向上や資産価値の維持にも影響を与えます。
管理会社任せにせず自分たちの財産であるマンションの管理に積極的に関わり参加される組合員が増えることを願います。
今後のマンション政策のあり方に関する検討会について 2023年6月19日開催
国土交通省では、増加する高経年マンションや居住者の高齢化(2つの老い)に加え、近年みられるマンションの大規模化等のマンションを取り巻く現状を踏まえて管理・修繕の適正化や再生の円滑化の観点から今後進める政策について、幅広く検討することを目的として、有識者等による検討会が設置されており現在までに8回の検討会が開催されています。
今回は、6月19日に開催された第8回検討会のなかで「管理会社よる管理者方式」についての議題がありましたので簡単にご紹介させていただきます。私は以前のブログにも記載しましたが管理会社による管理者方式については非常に問題があるとの見解です。法整備等も追いついておらず近い将来必ず問題が噴出するのではと危惧しています。
過去、管理会社に対する法整備が不十分なため様々な問題(管理費等の横領、着服、杜撰な業務等)が起こりマンション管理適正化法が制定された事実があります。その後も相変わらず絶対数は減少したものの不祥事は続いています。
国土交通省も、政官財のシステムのなかで管理会社業界に対する対応や規制も自分たちの立ち位置を踏まえた対応で私達から見れば物足りないといわれても仕方ない状況です。
但し放置して社会問題になれば自分達に批判がくることになり国民には、シグナルを出していると考えます。今回の管理会社による管理者方式は、国土交通省も近い将来問題が起きることを十分に予想したうえでの検討だと思われます。
以下、国土交通省 第8回今後のマンション政策のあり方に関する検討会から一部引用します。
3.1.3 管理組合役員の担い手不足 (6月19日開催資料)
現状
現 状
○ 近年、管理組合役員の担い手不足などを背景として、管理業務を受託している管理業者が、当該マンションの管理者として位置づけられる形式での第三者管理方式が増加している。
○ 国土交通省の調査によると、管理業者が管理者となる形式の第三者管理方式を実施しているケースのうち、半数程度の管理業者について、管理者としての契約を結んでおらず、また、管理業者が大規模修繕工事を受注することがあるとされている。また、多くの場合において、管理組合保管口座の通帳と印鑑を同一の社で保管している実態がある 。
○ 2016年のマンション標準管理規約の改正では、利益相反取引の防止に係る規定が設けられるとともに、外部専門家を活用した場合の留意点等を示したガイドラインを策定したものの、これらの措置は、管理業者が管理者となる第三者管理方式を念頭に置いていない。また、管理会社が行う管理者業務についてもマンション管理適正化法の適用があるとされているが、その旨が周知徹底されていない。
※ 管理者型のマンション管理が多く採られているドイツやフランスでは、管理者に関する資格制度が存在する 。
課 題
○ 区分所有者の高齢化の進行に伴い、今後管理組合役員の担い手不足がより顕在化するおそれがある。
○ 区分所有者の責任として果たす必要がある管理組合役員の就任について、その業務内容や事務処理方法が理解できないがゆえに就任を拒む区分所有者が一定数存在する。
○ 管理業者が管理者となる形式の第三者管理について、留意点などを示したガイドラインが存在しない。
今後の施策の方向性
○ 区分所有者が果たすべき責務の周知に加え、理事等を対象にしたノウハウ集の整備やセミナーの開催を推進する。
○ 管理会社が管理者となる場合に適用されるマンション管理適正化法に係る解釈・運用について早急に明確化し周知徹底する。その上で、管理業者等が管理者となる形式の第三者管理に係る実態等の把握を進め、マンション管理業の所管部署とも連携する形で、留意事項等を示したガイドラインの整備や、監事の設置など望ましい体制整備についてマンション標準管理規約等における手当ての検討を行う。また、これらの措置の効果等を見極めつつ、管理業者が管理者となる場合の制度的措置の必要性についても検討を行う。
以上引用終わり
このように国は、国民に対してマンション管理の諸問題に対して取り組んでいますというスタンスですが一方で管理業界をあまり締め付けると管理業界(経済界)の低迷にも繋がり国としても避けたいという意向も見えます。あとは、マンション管理組合の皆様がアンテナを張りこのシグナルをキャッチし主体的に動き考えることが将来の問題を最小化できるのではないでしょうか?
しかしながらどれくらいの方がこの問題に対して関心をもつか残念ながらそんなに期待は持てないかもしれません。出来れば私の予想がはずれること期待します。
前回のブログで、マンションの建て替え等の問題について政府は区分所有法改正によって大きく前進させようとしているという内容を説明しました。改正(案)主要項目のなかで異色の項目があります。それが「マンション管理に代理人制度を創設する(案)」です。
近年、海外に在住の人が、日本の不動産を取得するケースが多くなっています。これはなにも東京をはじめとした大都市圏だけではなく地方都市に於いても年々増加しているようです。ご存知の方もいると思いますが、北海道では多くの不動産が外国人によって買い占められています。日本の現在の法律等ではストップをかけることが困難な状況です。
これは分譲マンションでも同様です。そこで問題になるのが管理組合の運営です。議決権を持つ区分所有者が海外にいては、実質管理組合の運営にかかわること、議決権の行使が困難となります。また管理組合が連絡を取ろうにも、連絡先がわからないこともあるようです。このようなこ問題は年を追うごとに増加している状況です。
そこで今回の中間(案)には、海外に居住している区分所有者対象に「マンション管理の代理人制度を創設する」という案が示されています。具体的には、代理人となるべき専門家等が、海外在住の区分所有者に代わり、修繕工事など議案に於いて本人に代わり行使を行うことができるというものです。今の予定で行けば、早ければ2024年中にに区分所有法の改正となりそうです。
今回の改正(案)について日本経済新聞が記事を出していますので以下に引用しておきます。
*日本経済新聞記事『マンション管理に代理人制度 海外居住者に対応 政府、24年にも法改正 大規模修繕しやすく』より引用しています。
-------------------------------------------------------------------------------------
政府は海外に住む分譲マンションの所有者向けに代理人による管理制度を創設する検討に入った。所有者本人が不在でも、代理人の判断で同意が得られるようにする。老朽化したマンションの増加に合わせ修繕工事の手続きを簡素にする。
法相の諮問機関である法制審議会で議論し、2024年をメドに区分所有法の改正をめざす。海外の投資家による物件保有や海外転勤が増えており、所有者が不在だったり、連絡が困難だったりする場合の手続きを求める意見があがっていた。
いまも保有者が個別に委任契約を結んで代理人を置くことはできる。代理で担える行為が法律上明確でないため、実際は海外の所有者に確認を取る場合が多い。連絡が滞り、マンション全体の管理が行き届かなくなる懸念がある。
念頭におくのが配管や配電網が老朽化し、共用部分のみの修繕では効果が出にくいケースだ。個人が所有するそれぞれの部屋にも工事を広げる必要がある。政府は法改正により代理人の判断で専有部分への立ち入りや工事をできるようにする。
海外の所有者にとっては代理人を選任することでマンション管理の手間が減る。
国内の代理人が代わりに管理費を支払えるようにする条項を加える案も検討する。
米不動産サービス大手CBREによると、2021年の日本での不動産投資額はおよそ4兆5000億円で、そのうち3割は海外投資家だった。
2022年の不動産取得額の見通しについて「昨年より増加する」と答えた海外投資家の割合は74%となっており、さらに増える可能性がある。企業の海外進出などにより一時的に国外に住む日本人も増える見込みだ。
国土交通省の調査によると、21年末時点で全国に249万戸ある築30年以上のマンションは20年後に2.4倍の588万戸になる見通しだ。マンション全体の価値を維持するためには修繕工事が必要になる。
区分所有法の改正では、部屋の所有者の所在が不明で管理に支障が出た際の対応も検討する。裁判所が代理人を選任し、弁護士やマンション管理士といった専門家が代わりに専有部分を管理できるようにする。
水漏れやごみの放置などで他の居住者の暮らしに悪影響が及ぶ事例を想定している。
以上引用終わり
-------------------------------------------------------------------------------------
現在、区分所有法には,総会での議決権を代理人によって行うことができるなど(法39条2項)、代理人についての若干の規定がありますが代理人の行える行為についての明確な規定は置かれていません。
現行でも、印鑑証明書を添付した委任状により代理人を選任することは実務上可能ですが区分所有法に代理人が行える行為が明確に示されていないため無用なトラブルに繋がりかねないと思われます。年々増加する外国人オーナー対策のためにも今が潮時と考え、代理制度の根拠規定を示してきたのだと思います。
さらに今回、所有者が所在不明の場合などの場合には裁判所が専門家を管理人として選任するという制度も検討されているようです。バブル時に建設された全国のリゾートマンション等では破格値で取引されている物件も確認されます。このようなマンションは上記の問題が顕著ではないかと考えます。
戦後、経済成長を優先し一時はアメリカに次ぐGDP第2位の先進国になった我が国ですが一方公害問題や環境汚染、農業の衰退と自給率の低下、世界でも有数の高齢化社会等様々な問題が表面化して対策に取り組んできました。ここにきて国際化が急速に進み新たな問題がでてきたという状況です。
国の思惑とは違い、一向に進まないマンションの建て替え等の問題について政府は区分所有法改正によって大きく前進させようとしています。
法制審議会区分所有法制部会の第9回会議が6月8日に開催されました。その席で「区分所有法制の改正に関する中間試案(案)」について審議され、同部会資料の内容を一部修正の上で中間試案をとりまとめることことし、部会長に一任されました。そして、今後、公表される修正された「区分所有法制の改正に関する中間試(案)」についての意見募集がおこなわる予定です。
国土交通省によると、築40年を超える分譲マンションは116万棟あり、20年後には425万棟に増える見通しとのことです。 現状、分譲マンションの建て替えには所有者全員の「5分の4」の賛成が決議には必要と、区分所有法で定められています。 しかし、老朽化した分譲マンションでは相続を経て部屋の所有者が不明というケースや、外部オーナーの増加、また近年は外国人オーナーの増加等で建て替えのための決議条件に必要な賛成が集まらないことが指摘されています。今回の中間試案では、所有者が分からない場合、決議の母数に含めない案のほか、建て替えに必要な賛成を「4分の3」以上に緩和する案などがまとめられています。 また、耐震性が不足しているなどの建て替えるべき理由がある場合は、さらに条件を緩和するということです。 政府は今後2カ月間にわたってパブリックコメントを実施し、来年の通常国会に法案を提出できるよう検討していく方針だということです。
以下に今回の重要なポイントを挙げてみます。
「区分所有法制の改正に関する中間試(案)」の主要な改正ポイントは以下の通りです。
<管理に関する項目>
◆修繕などの普通決議
・所有者の過半数→出席者の過半数に変更
◆構造を変える大規模改修工事
・所有者の4分の3→出席者の4分の3に引き下げる
◆海外居住者の専有部分に関すること
・法律で代理人による管理制度を創設する(法律専門職等就任を想定)
<再生に関する項目>
◆建て替え決議に関すること
・所有者の5分の4→4分の3又は3分の2に引き下げる(客観的理由に基づく)
◆全体のリノベーションに関する決議
・所有者全員→上記建て替えに関する決議と同じ要件にする
◆被災時の建て替えに関する決議
・所有者の5分の4→所有者の3分の2に引き下げ
*いずれも決議要件を現行よりも大きく緩和する方向です。
今後この法案が通れば、制定以降非常に大きな区分所有法の改正となります。
たしかに立替え、リノベーション等で決議要件が緩和されることで老朽化マンションの増加に歯止めがかかり結果的に既存マンション全体の資産価値が上がり、不動産流通の促進につながるということは言えます。しかしこの要件緩和により新たな問題(利害調整の増大、紛争事案の増加等)が発生することを懸念します。誰のための改正なのか?という事を考えた場合国の都合がそこに在ると感じるのは私だけでしょうか?
状況に応じて法律を変えることは必要だとは思いますが問題の本質は、区分所有者の管理に対する長期ビジョンの認識不足等であり法律改正だけですべてうまく行くものではないと考えています。今回の法律改正に向けても区分所有者がどれくらい認識しているかと言えばほとんど知られていない現状があります。政府も全くPR等もしておらず業界関係者が認識している程度です。今回の区分所有法改正を機会に区分所有者がもっとマンション管理に関して関心をもち「無関心」「外部全面依存」等の意識を変えることが重要だと考えます。
お問合せ・相談予約はお気軽に
最近の投稿
業務対応地域
【北九州市・山口県西部地域】
北九州市・芦屋町・岡垣町・遠賀町・苅田町・上毛町・築上町・中間市・豊前市・水巻町・みやこ町・行橋市・吉富町・山口県下関市・山陽小野田市・宇部市
【福岡市地域】
福岡市 - 東区・博多区・中央区・南区・西区・城南区・早良区・糟屋郡・朝倉市・糸島市・大野城市・春日市・古賀市・太宰府市・筑紫野市・筑前町・那珂川町・福津市・宗像市
【大分県一部地域】
中津市・宇佐市及び周辺地区