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NHK「クローズアップ現代」の問題提起を再確認!    

マンション維持費高騰にどう備える?

前回のブログで国土交通省が1月26日、マンションの管理組合が管理業務を外部に委託する「第三者管理方式」のガイドライン(指針)改訂案を有識者会議に示しましたことを伝えましたが昨年11月19日にNHK「クローズアップ現代」でマンション管理に関する番組が放映されていました。この内容が今回の国土交通省が示した指針に見事に当てはまる内容となっています。現在の流れを読むと、実は表面化していないだけでNHKの報道内容や国交省の注意喚起にあるような事態が想像以上に多く発生しているのではないかと感じています。そこで改めて番組のなかで重要だと感じたことを記載してみたいと思います。

国土交通省も警告している修繕コンサルタントと談合問題

放映内容は、ここ10年間で分譲マンションの管理費・修繕積立金の合計額は3割上昇しており、修繕積立金を大幅に増額改定しているマンションも少なくなく、経済的負担に耐えきれず手放す人が増加している実情が報告されています。
また管理組合の体制の脆弱さを利用した大規模修繕工事に於ける水増し工事や不正工事を例に挙げており問題の深刻さがわかる内容でした。
さらに、大規模修繕工事に関わる複数の企業が事前に工事金額を裏で示し合わせる談合行為が行われており工事会社に支払われた金額の一部は、キックバックとして設計事務所などのコンサルタントに渡されており管理組合から無駄な費用が流出している実態が伝えられています。
もちろん誠実にコンサル業務を行うコンサルタント会社も存在しますが管理組合側がその見極めを判断をすることが難しい点がこの問題の悩ましいところです。
番組の中で、こうした対策として設計事務所等コンサルタント会社や建設会社任せにせず、管理組合が「独自に見積もり」を取得することが重要でありこうした積極的な行動が業者にもプレッシャーにもなり、安易に不正ができなくなるとの内容でした。

内容的には、一部説明不足なところはありましたが全般的に同意できる内容でした。やはりこのような問題に有効な対策は、管理組合が建設会社とコンサル会社に対するチェック機能を働かせることだと思います。もちろん裏で利益供与が行われていれば完全に見破ることは困難ですが、主体性を高めチェック機能を働かせることが出来れは、悪質な業者は、面倒くさがりこのような管理組合には入り込みにくため避けていくと考えます。

管理会社が管理者を兼ねる第三者管理方式の問題について

また第三者管理方式について触れており高齢化や手間のかかる管理には関わりたくないという組合員の方が多いなか近年新しい管理手法として外部の専門家などに運営の判断や決定を任せるも第三者管理が注目されており実際に年々増加傾向にあるがその仕組みにも課題があるとの内容でした。その中でも特に課題があるケースとして紹介されたのが、マンション管理士などの外部専門家でなく、管理会社が就任するケースについてでした。まず指摘されたのが管理会社が管理者を兼ねる第三者管理方式においては、利益相反の問題があるということ。工事に関して言えば、発注者たる管理者と受注者たる管理会社が同一の会社になるため、自分が自分に工事を発注するということができてしまうためリスクが高いという内容でした。実務面では管理会社の子会社が工事を請け負うという形をよく見ます。

番組では関東地方のある管理組合が取り上げられ、管理会社からはメリットばかりを強調されて管理会社による第三者管理を導入したが以前と比較して、お金の使われ方が不透明になり日常的な修繕は事後報告、老朽化した設備工事は費用等の説明もなく不安が大きくなったとの説明でした。その後この第三者管理方式をやめようと管理組合で動いたところ変更には管理規約に非常に厳しい条件が記載されていたことを知り大変な労力の末、全区分所有者に協力してもらいなんとか第三者管理をやめることができたとの内容でした。

コメンテーターは番組のなかで、この第三者管理という制度そのものが悪いものではないということを伝えており高齢化社会が進行し、管理組合の役員のなり手不足も深刻化している状況のなかでの解決策の1つとして、第三者管理というのは有効ではないかと言われていました。また現在国が作っているのは、第三者管理に関するルールが何もないので、まずはルール(ガイドライ)を作りましょうということをやっているということ。そのルールをこれを守らないような業者が出てきてしまったら、その次の段階としては強制力を持った法律というのが必要になるのではないかなと考えていますとの内容でした。最後に、マンションの管理状況を自治体が評価する「管理計画認定制度」を活用して住民の関心や意識を変えようとする動きも見られており今後の動きにも注目してほしいとの内容でした。

この内容については、今まさに国土交通省がルール作りの指針を示しているところです。日本人は、基本的に争いごとを避ける国民性と他人を信用するという文化が根付いています。そのためか何か問題が大きくなってから対応を行うという図式をこれまでも多々見てきました。今回の様な問題増大が想定されるような状況では、立場の弱い管理組合(*1)の保護のためにも出来るだけ早い時期に法律を制定したほうが良いのではと考えております。

(*1)我が国のマンション管理適正化法に於ける管理組合は消費者契約法にあたる消費者に当たらないとする見解が一般的です。

管理組合の「管理」に対する正しい価値観をもつ重要性

管理会社に関するご相談で、なぜここまで修繕で多額のマージンが必要なのですかという質問を頂くことがあります。単純に言えば通常の管理委託費では十分に「儲からないから」です。通常のファミリー物件に於いて管理組合から選んでもらうために、毎月の管理委託費を安く見せるということは、判断材料の乏しい組合員の方への訴求効果がとても高いと思います。外部のマンション管理士等から見れば大事な資産を任すのだから総合的見地から管理会社は選ぶべきだという極真っ当な意見もありますが、一般的に日常生活に於いて管理組合運営のことなどじっくり考える余裕のある組合員の方は少なく、何が正しい情報なのかも判別できないためどうしても表面的なもので判断してしまいます。その大きなものが「価格」であり安さです。理屈よりも感情が勝るのが人間の一面なのです。管理会社の実態などわかりにくいものより単純に会社の規模・価格といった表面的な情報で判断してしまいがちなため管理会社は、競合する中で通常の管理委託費をできるだけ安価で受注しようとします。
しかしこれでは、管理会社としては利益確保がむずかしいためどこかで利益を確保しなけれないけません。そこで年間の修繕工事や大規模修繕工事を割高な価格で受注するという構図です。営利を追求する企業からみれば会社存続の為、規模拡大のため必要なことと言えます。程度の差こそあれ多くの管理会社は管理委託費の安さをアピールしなければいけないのも事実なのです。もちろん高級物件や大型物件を扱い通常の管理委託費からも十分な利益を得たうえで修繕工事等でも十分な利益を出す管理会社もあります。また、通常の管理委託費で十分に利益が出ており修繕工事等には積極的には関わらないというスタイルの管理会社もあります。しかし多くのファミリーマンションでは、「安さ」を重要視する管理組合員の方が多いため入口の管理委託費を安価で請け負いその後の工事等で回収するという手法が伸びているのです。結局トータルで見れば「安さ」を享受できずに問題が出てきているケースが増えているということを番組を通じて感じました。こうした事実を多くの管理組合の方が認識していただき「管理」に対する価値観を変えていけば適正な価格と満足できるサービスという業界にとっても管理組合にとっても良い方向に行くのではないかと思います。

最後に番組の中で「こんなマンションは要注意!」として「お金のトラブル こんなマンションは要注意」というチェックシートが紹介されていましたが、皆様のの管理組合でも複数の項目が該当するのではないでしようか。マンション管理組合問題は、ここ最近のマスコミ、国や地方自治体等の動きを見ても臨界点に徐々に近づいているように感じます。臨界点を超えれば問題が噴出して多くの管理組合の現状が表面化することになります。是非手遅れにならないためにも自分の資産は自分で守るという意識を高めて頂きたいと思います。

画像引用:クローズアップ現代マンション維持費高騰にどう備える?より
2024/2/6

管理会社による管理者方式…国交省が指針改訂案 

管理会社が自社グループに修繕工事発注、総会決議を条件に

新年の挨拶の際にも触れましたが「管理組合の運営を管理業者に委託している分譲マンション」について、国土交通省は、指針の改正案を示しました。

国土交通省は1月26日、マンションの管理組合が管理業務を外部に委託する「第三者管理方式」のガイドライン(指針)改訂案を有識者会議に示しました。大きく2つのポイントになります。一つ目は、第三者管理に於いて管理業務を委託された管理会社が自社グループに修繕工事を発注する際に、住民による総会で決議することを求めるとした内容となっています。この第三者管理方式については、住民の負担が減るものの委託先の管理会社の業務に住民の監視が働きにくく、修繕工事がグループ会社に割高な価格で発注される問題が指摘されています。私自身も以前からこの方式については近い将来必ず問題が噴出すると考えていました。

今回、国交省は、管理会社が住民側の同意を得て修繕を行う仕組みとすることで、トラブルの発生を防ぐ狙いがあるということですがこれに関しては、実務に精通した立場から見ると有効性に疑問が残ります。そもそも現状の管理組合の多くは管理会社に全てお任せ状態であり総会に於いても委任状と議決権行使がかなりの割合を占める管理組合が多いと思われます。限られた出席者と管理会社主導による総会進行で果たしてどこまで有効に働くのか疑問に感じます。本来、総会への上程に至る過程での理事会での相見積もりや工事内容等の検証が重要ですが理事会廃止型の管理者方式ではこれもフリーパスです。こうした事を考えるとやはり管理組合側の組織体制も強化しなければ従来通り多くの管理組合で承認されてしまうのではないかと感じています。

国土交通省がマンション管理組合に専門家による監査を求める改正案

そして二つ目が、管理会社の業務状況を確認する役職の「監事」を管理組合に設置することも求めています。住民のほか、マンション管理士や弁護士といった外部専門家の選任を推奨しているようです。分譲マンションでは通常、選任された役員でつくる理事会が運営を担うことになります。しかし、活動の煩わしさに加え、住民の高齢化などで役員のなり手がなく、理事会の役割を管理業者に委ねる「第三者管理方式」が増えています。このような状況では、管理業者が独自に高額な修繕工事を発注することもあり得るため、専門家による外部監査を置くべきという考え方です。このような第三者によるチェック体制は、透明性と公平性を保ち、居住者の負担を適正化するために不可欠だと感じます。

分譲マンションの管理費や修繕費に関する問題は、多くの居住者にとって切実なものです。高額な管理費や予期せぬ追加徴収は、居住者の負担となります。そのため、国土交通省が管理業者の運営をチェックする「監事」を設け、外部専門家の活用を促す指針の見直しを進めているのは、非常に重要な対策だと思います。本来管理組合においては、住民が理事会を組織し管理を行うのが一般的ですが、高齢化やその他の理由で理事会が機能しない場合もあります。このような状況では、管理業者が独自に高額な修繕工事を発注することもあり得るため、国交省の提案は居住者の利益を守る上で大きな一歩と言えると思います。

今回のような対策により他の管理会社と比較して相当に安い管理委託費で管理をリプレイスさせるようなやり方にも間接的にブレーキをかけることに繋がり適正な価格で満足度の高い管理という方向性に向かえば管理業界全体にとっても良いことだと考えます。

まとめ
マンションの管理組合では役員のなり手不足が課題です。背景に所有者の高齢化や賃貸化があります。そのため、政府は適切な維持管理に期待して「マンション管理士」などの専門家による第三者に管理を委託することを可能にしましたが、実際には、現在管理を委託しているマンション管理業者に運営まで委託する事例が増えています。管理組合の運営を利害関係者に委託する形となるので、政府も外部に委託する際の細かいルール作りをしているわけです。また、管理会社が大規模修繕工事を請け負う場合、何億という高額な金銭が動くこともあるので、専門家による外部監査を実施すべきという考え方です。

2024/1/29

マンション管理報告義務化へ 芦屋市が条例検討へ

画像:芦屋市街地

高級住宅街としても知られる兵庫県芦屋市は、マンションの管理組合などに対し、修繕計画や財政状況などの報告を義務づける条例制定を検討しています。今後制定されれば兵庫県内初ということです。芦屋市でも老朽化が進む一方で管理が行き届かないマンションの増加が社会問題化しており、市担当者は「適正な管理を促す仕組みを作り、将来にわたって芦屋の住環境を守りたい」とコメントしています。
現時点での条例案では、10戸以上ある分譲マンション419棟を対象とし、管理組合は長期修繕計画の有無や修繕積立金の額、総会の開催状況などを5年ごとに市に報告することを義務づけるとしています。報告に基づき芦屋市が適正に管理されていないと判断した場合、管理組合に助言をおこなうという流れです。その後、指導・勧告をしても改善されない場合はマンション名公表や立ち入り検査を実施するという条例案になっています。私有財産について自治体が一歩踏み込まなければいけないほど状況は悪化しているということです。しかしながら当事者にはその実感がないというのがこのマンション管理問題の難しいところです。

マンションの病状は、住んでいる住民はその変化に気づきにくいために何十年もの月日が経過し管理不全状態に陥る危険性が高まるというのが特徴です。人間に例えるなら病状がかなり進行しているにも関わらず放置している状況に似ています。人間であれば個人の問題ですが管理組合の場合区分所有という複雑な権利関係が絡んできます。
国の住宅・土地統計調査(2018年)によると、芦屋市内の総住戸数に占める分譲マンションの部屋数の割合は36・4%で、全国の自治体で4番目に高い状況です。芦屋市が予定している同様の条例は大阪府吹田市東京都墨田区など全国8自治体ですでに制定されています。
今月26日まで、この条例案について市ホームページなどで市民からの意見を募集していました。今後はこれらの意見を参考に準備を進めていくということです。
今後、こうした条例はマンション管理問題で悩む全国の自治体でも動きがでてくるのではないかと考えます。

2024/1/28

令和6年新年のご挨拶     

新年あけましておめでとうございます。
マンション管理の窓口公式WEBサイトにアクセス頂き誠にありがとうございます。旧年中は格別のご愛顧を賜り 誠に厚く御礼申し上げます。また福岡県マンション管理士会活動を担っていただいている役員の皆様には、ご多忙な中でのご対応ありがとうございました。心より感謝申しあげます。

昨年は福岡県内でも「マンション管理計画認定制度」が認定されるなど、様々な動きがありましたが国土交通省の思惑よりはゆっくりとした動きであり、今後定着していくのかまだ先が読めない状況です。個人的には管理組合に対するインセンティブの見直しなど、検討する余地があるのでないかと思います。また国が考えている制度の狙いと実際の管理組合側の意識の「差」が大きく認定制度が前進するには管理組合側の管理に対する意識改革が必要ではないかと感じています。

そのような状況の中、昨年12月26日に、国土交通省が管理組合の運営を管理業者に委託している分譲マンションについて、業者の運営状況をチェックする「監事」を設けるよう管理指針を見直すことを明らかにしました。管理業者が修繕工事を同じグループの会社に割高な金額で発注する例もあり、外部の目を入れてトラブルを防ぐことも視野にいれているようです。「外部専門家の活用ガイドライン」の改訂案を26日の有識者会議で示し今春にも運用を始め、管理組合などに管理規約の修正を促すということです。以前のブログでも何度か取り上げたましたが、管理組合活動の煩わしさに加え、住民の高齢化などで役員のなり手がなく、理事会の役割を管理業者に委ねる「第三者管理方式」が増えています。私はこの運営手法は、法整備が追いついておらず近い将来必ず問題が噴出すると考えていましたので一歩前進したと思います。実際にある管理組合では近隣同規模・仕様のマンションと比較して大幅に管理費等が上がったという情報もあります。今後は、管理組合と利益相反する管理会社が管理者となるリスクが内在することを踏まえ、いかに実効性のあるガイドラインにすることができるかにかかっています。そのためにも管理組合の皆様に管理組合運営に関心を持って頂き主体的に関わっていただくことを期待します。

また、今年度は区分所有法の改正や標準管理規約改正など、管理組合に関わる制度の変更が続きます。この機会に管理組合の皆様が今以上に組合運営に関心を持っていただくことを期待して、今年の新年のご挨拶に代えさせていただきます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます

2024/1/1

山口県宇部市の井筒屋跡地整備に合人社計画研究所!

宇部市ホームページ外観イメージパースより引用

総事業費約60億円の複合施設。PPP(官民パートナーシップ)事業!

今年7月にマンション管理業務を展開する合人社グループ(本社広島市)の合人社計画研究所が2018年末に閉店した山口井筒屋宇部店(山口県宇部市)の跡地に新たな複合施設を整備すると発表して約半年が経過しました。10月には、市内在学の高校生、小学生以下の子どもを持つ市民ら25人が参加しての意見交換会も開催されました。子育て支援の機能等を備え、地域住民の交流拠点となる複合施設として2026年10月に開業する予定ということです。

施設は延べ床面積約4660平方メートルの3階建て、4階建ての立体駐車場を併設する計画で地元の食品店、小売店などの地域密着型の小規模店舗のほか、小倉井筒屋でも出展している玩具販売のボーネルンド(本社東京都渋谷区)の遊具を入れた子供用遊び場や近代的な図書コーナーを整備する計画です。その他子育て支援センター等の行政施設も入居する予定で施設運営は主にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が担うことになるということです。現在解体工事が進められており今回決定した設計事務所・建設会社等企業グループが、設計や建設を進めるという事で総事業費は約60億円。2024年12月に着工予定ということです。受託企業の合人社計画研究所は、この施設を2046年3月末まで維持管理などを受け持つ予定ということです。

宇部商工会議所、宇部市主体での事業計画が頓挫の末の決定

この山口井筒屋宇部店(山口県宇部市)の跡地を巡っては遡れば宇部商工会議所が店舗跡地を購入すると表明したものの臨時総会で否決されその後は、宇部市が主体となり既存建物に約30億円を投じて複合施設案を進めていったものの議会の反対で開発計画は中断された経緯があります。その影響もあってか当時の市長は体調不良を理由に市長を辞任されその後新体制で計画をすすめ今回の発表となりました。

本来商工会議所は、親睦団体であり不動産事業には似つかわしくないはずですが宇部市の現状を見るにつけ当時の会頭と市長が苦肉の策で計画したのではないかと推測しております。地方の衰退は想像以上に進んでいます。1973年に施行された大店法(大規模小売店舗法、2000年に廃止)をベースに、2000年に施行された大店立地法(大規模小売店舗立地法)では規制緩和が進み外資系の店舗も参入しやすくなり全国の郊外中心にアウトレットモールや大型商業施設が開発されていきました。その結果、既存の中心街がシャッター街化するケースが増加し、大きな社会問題となっています(2006年に都市計画法、建築基準法の改正等が行なわれ、延べ床面積が1万平方メートルを超す大型商業施設の出店に関しては、立地条件にある程度の抑制がかけられるようになりましたが効果は限定的です)。前回の記事にも書きましたが誰のための規制緩和なのかとあらためて考える次第です。

山口県宇部市は私の故郷でもあり小さな頃から旧宇部井筒屋には買い物等で利用した懐かしい思い出の場所でもあります。また旧宇部井筒屋は展示会等で、宇部全日空ホテル(現ANAクラウンプラザホテル)で催し物を開催されビジネス上でもお世話になった関係です。今回受託した合人社計画研究所については、マンション管理士としては厳しい見方をしていますが受託したからには、保守的な地域に「既成概念を打破し新しいパラダイムを生み出す」ことを期待したいと思います。以下に今回内容の宇部市ホームページの発表記事を転記しますのでご覧ください。最後に宇部市ホームページ外部リンクを貼っておきます。

以下宇部市ホームページより転記

レストスペースのイメージパース(宇部市ホームページより引用)

常盤通りにぎわい交流拠点利活用事業の事業者を決定しました

「旧山口井筒屋宇部店跡地における「常盤通りにぎわい交流拠点利活用事業」の事業者が決定し、この度、契約締結に至りました。
本事業は、令和5年1月より本施設の設計・建設・維持管理・運営までを一体的に担う事業候補者を公募型プロポーザル方式により募集し、同年3月に2グループから提案がありました。
その後、同年5月15日に開催された選定委員会において、最優秀提案者となった下記グループを優先交渉権者として決定し、契約交渉を進めた結果、合意に至ったことから、令和5年6月市議会定例会において、設計・建設等の業務に係る施設整備契約の締結と維持管理・運営を行う指定管理者の指定についての議案を上程し、承認されました。
今後は、基本計画・基本設計に着手し、令和6年度には建設工事に着手、令和8年10月の供用開始を目指します。

契約締結等の相手方
事業者:【株式会社合人社計画研究所】を代表企業とする、全9社で構成されるコンソーシアム
公共施設等の設計・建設業務に係る施設整備契約
受注者:安成・大旗・さくら・巽・合人社エンジ共同企業体
公共施設等の維持管理・運営業務に係る指定管理者
受注者:株式会社常盤通り未来共創まちづくり(※)
(※)指定管理については、特別目的会社SPC「株式会社常盤通り未来共創まちづくり」を設立

事業期間(予定)
令和5年6月19日~令和28年3月31日
設計・建設期間
令和5年6月19日~令和8年7月31日
維持管理・運営期間
令和8年8月1日~令和28年3月31日
開館
令和8年10月
総事業費
6,014,645,000円(税込み)
設計・建設に係る経費
3,339,820,000円(税込み)
維持管理・運営に係る経費
2,674,825,000円(税込み)

2023/12/18

無関心は危険 相次ぐ管理会社の着服(9億円)・逮捕 

被害総額は最大9億円か、管理組合の預金を着服!

①上場企業のビルメンテナンス会社で管理組合の預金着服が発覚!

管理会社の管理組合預金の横領等は相変わらず続いていますが今回は1人の元社員による9億円近い横領が発覚しました。
大阪府吹田市に本社を置くビルメンテナンスなどを手掛ける「ビケンテクノ」が勤務していた60代の元男性社員が、複数のマンション管理組合の預金を着服した疑いがあり被害総額は最大で約9億円に上る可能性があるということを公表しました。
株式会社ビケンテクノは、元々不動産管理・清掃会社として発足し、ビルメンテナンスを主力に成長した企業です。近年はビル運営・経営に関わるプロパティマネジメント等を拡大。さらには不動産売買・仲介、介護、ホテルなどへ多角化している東証スタンダード上場企業です。

公表されたビケンテクノの内容によると、元社員の男性は、20年近く会計業務に携わっていたが、10月中旬に欠勤後連絡が取れなくなったことなどから詳しく調べたところ、マンション管理組合の預金を不正に引き出した疑いがあったということです。 被害対象となる管理組合は10管理組合を超えていて、会計に関する書類を改ざんしていた可能性もあり、被害総額は最大で約9億円にのぼる可能性があるとしています。 会社はこの男性を懲戒免職としていますが、現在も連絡が取れておらず、すでに警察に相談しているということです。金額を含めた詳細等や類似事案については、今後の調査委員会の調査結果を踏まえて公表するとのことのようです。

②管理組合の預金口座から300万円超を横領か…元事務員を逮捕

マンション管理の委託を受ける長崎県佐世保市の会社で経理事務をしていた元事務員が管理していた預金口座から300万円以上を横領した疑いで警察に逮捕されました。

業務上横領の疑いで逮捕されたのは、佐世保市の無職 元経理事務員(54)です。警察の発表によると、元社員は2022年1月から6月までに、仕事で管理していたマンション管理組合の預金口座から11回にわたって現金を引き出し、約330万円を横領したということです。当時、元経理事務員はマンション管理の委託を受ける佐世保市の会社で経理事務員として働いていました。警察の調べに対して、容疑を認めているようです。金の使い道や動機は、まだ分かっていないということで今回の横領は、元経理事務員が会社の関係者に申し出たことで発覚したということです。

ビケンテクノの件は金額からいって長年にわたり横領を続けていたにもかかわらず会社は気づかず本人の欠勤後連絡が取れなくなってわかるとういう非常に杜撰な社内の管理体制が見えてきます。ビケンテクノは「関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けし、深くお詫び申し上げます」とコメントしていますが事の重大性を考えればお詫びで済む問題ではないはずです。佐世保の件も本人自らの申し出で明るみに出るというどちらも管理組合から見れば信じられないケースだと思います。こんな状況では管理会社の社会的評価は上がることはありません。

日本の管理会社への規制は限定的で甘すぎるために抑止力が弱い

なぜこのような横領がいつまでたっても続くのか?以前のブログでも記載しましたが管理組合の丸投げ意識と無関心がひとつの要因であることは間違いありません。しかしながら肝心の管理会社を規制する法律が甘すぎるということが大きな問題であり同じ管理会社が何度も横領をおこしてしまう土壌があります。

実際に、管理会社社員が管理組合の資金を横領着服しても、監督官庁からの管理会社への処分は原則指示処分だけです。(法第81条第1号違反)
指示処分とは「役所が管理会社に是正を指示する処分」のことで、「以後、十分気をつけるように」と注意をするだけというのが実態です。

また管理会社が大規模修繕工事コンサルタントや建設会社と組んで不正に管理組合に損害を与えたことが判明して、 仮に公正取引員会から摘発されたとしても、現在の適正化法では、管理会社への処分は同じく指示処分どまりなのです。(法第81条第2号・第3号違反)
海外ではこうした法律は、このように軽く、形式的な処分では終わらず厳しく規制している場合が多く実際に欧米の管理業者規制法には、管理業者が守るべき倫理規定と利益相反禁止規定が入っています。
尚、我が国の適正化法に於ける管理組合は消費者契約法にあたる消費者に当たらないとする見解が一般的です。

参考までに法令上、「指示処分」とされている違反項目を一部記載してみます。皆さんこれをみてどう思われるでしょうか?
仮に同程度の内容の事を国家資格に基づく士業(弁護士・司法書士・行政書士・社労士等)の方が行えば厳しい社会的制裁がまっています(レッドカード)。資格者個人及び事務所の信用が一気に低下し継続が困難になります。国からの信用に基づく士業と事業会社を同系列で見てはいけませんがそれにしても甘いというのが正直な感想です。なぜ甘いのかということは少し知見のある方であればお分かりいただけると思いますがここでは省略させて頂きます。

第八十一条 国土交通大臣は、マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当するとき、又はこの法律の規定に違反したときは、当該マンション管理業者に対し、必要な指示をすることができる。
(法第81条第1号)
一 業務に関し、管理組合又はマンションの区分所有者等に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき
(法第81条第2号)
二 業務に関し、その公正を害する行為をしたとき、又はその公正を害するおそれが大であるとき
(法第81条第3号)
三 業務に関し他の法令に違反し、マンション管理業者として不適当であると認められるとき

上記の監督処分をしたときは、監督処分日から2年間、国土交通省のホームページにおいて、内容を公表することになっていますが一体どれくらいの組合員の方がチエックを行い確認されているのでしょうか?私の肌感覚からすればほぼいないといったところです。そもそもこうした公表自体を知らないと思います。近年、管理会社による第3者管理方式が増加していますが今回の例をみてもわかるようにこのようなリスクが内在していることを理解した方が良いと思います。

管理会社の横領等に対する管理組合の予防法務の重要性

現状管理会社を規制する法律がこのような状況であれば管理組合は主体性をもって管理会社の業務をチエックしなければいけません。そこで前回の関連記事にも記載した内容をもう一度記載します。まずは管理組合運営について無関心をやめることです。
管理組合の運営に無関心で、管理会社任せにしていると、悪意を持った人間が、皆さん(管理組合)の大切な資産に手をつけてしまうかもしれません。

どのような事情があるにせよ犯罪行為は許されることではありませんが、横領や着服等の不正行為を未然に防ぐ若しくは最小限に食い止める環境作りはできると思います。(予防法務)たとえばいくら親しい友人だからと言って無造作に札束をテーブルの上や目につく所に置きっぱなしにして家に招くというのはある意味犯罪を助長しているともいえる行為で危険です。莫大な修繕積立金を前にして、輪番制で専門性の乏しい役員による管理会社丸投げのマンション管理では、心が動く人間が後を絶たないというのも事実なのです。

そしてこのような不正行為を防止するためには、管理組合のチエック体制と財務管理の強化が重要だと考えます。決算時の監査以外に定期的な監査・監視体制の構築、会計・出納業務のスキームの厳格性、マンション管理士等外部の専門家の活用などの対策が求められます。その結果、隙のあった管理組合の組織が変わり管理会社にも緊張感が生まれてくることになります。

そしてマンション管理組合の健全な運営を実現するためには、組合員同士のコミュニケーションや協力も重要になってきます。各居住者が管理組合運営に関心をもつことにより、居住環境の向上や資産価値の維持にも影響を与えます。
管理会社任せにせず自分たちの財産であるマンションの管理に積極的に関わり参加される組合員が増えることを願います。

2023/12/7
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