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国土交通省2025年度通常国会への提出を目指す!  

「管理会社による外部管理者方式」に交通省は法制化の方針を固める!

国土交通省は、近年増加している管理会社による外部管理者方式(第三者管理者方式)について、グループ会社などに修繕工事や清掃等を発注する場合、管理組合の総会で承認を得ることを義務付ける方針を固めたようです。通常の相場よりかなり割高な値段での発注を防ぐためで、2025年の通常国会への提出を目指すマンション管理適正化法などの改正案に盛り込む考えを示しました。

現時点では具体的な事はわかりませんが、違反した管理会社に対する監督処分も設ける方針で、違反行為を重ねるにつれて、「指示」「業務停止命令」「管理業の登録取り消し」と処分を重くする方向で検討しているようです。

通常マンション管理組合では、理事会承認事項を除き組合員(区分所有者)の中から選任された役員が理事会でどの業者にいくらで修繕や清掃を依頼するか協議し、理事会にて決議、総会に上程・承認という流れになります。しかしこのブログでも再三取り上げていますが一部の大手管理会社等が、「組合員の業務を軽減」というメリットを強調し理事会を廃止し管理会社が管理者に就任(通常管理会社の社員)するケースが増えています。しかしながら年間発注する修繕工事等で理事会で審議されることなく相場を大きく上回る金額でグループ会社に発注されるケースが近年増加しマスコミ等でも度々取り上げられてきました。市場経済は、契約自由の原則が優先されますが問題が浮き彫りになると法の整備という流れは今も昔も変わりません。

修繕工事・清掃等過度な高額発注を防止 管理組合の不利益回避へ

この理事会廃止型の管理会社による外部管理者方式は、修繕工事や清掃等を担う会社が同管理会社又は同一グループ会社の場合、管理会社=管理者は「所有者のため費用を抑える立場」と、「会社の利益を優先させて利益を最大限に追求する立場」で、利害関係が対立する「利益相反」が起きる可能性が高まります。このため、所有者に不利益が生じることを防ぐ措置が必要だと判断しての改正と考えます。

以前のブログでも記載しましたが国土交通省は、今年6月にマンション管理に関する指針を改訂しました。発注時に組合の承認を得ることのほか、チェック機能を持たせるため外部専門家らを「監事」として置くことや、管理組合の口座の印鑑は監事が持つことなどを定めています。今回の発表は、その流れに沿うもので管理組合の不利益が現実化する発注時の承認は特に重要だと判断し、法律に明記して義務化することで管理組合の不利益を防ぐ狙いがあります。この理事会廃止型の管理会社による管理者方式は現在も着実に増えています。出来るだけ早いうちの法整備更なる改正を進めていくことが望まれます。

2024/11/19

国土交通省公表・・令和6年度相次ぐ管理会社処分!

管理会社の着服等不正が起きる問題の本質を理解することが重要!

マンション管理会社の不正についてのご相談・ご質問等が数件ありましたので今回は関連記事を掲載したいと思います。以前のブログでも記載しましたがマンション管理会社の行政処分は国土交通省ネガティブ情報等検索サイトで過去5年の行政処分業者を公表しています。サイトがわからないという声を頂きましたので記事最後にリンクを貼っておりますのでご確認ください。

毎年のように大手・中小管理会社問わず管理組合の財産着服等で国土交通省から処分が公表されています。令和6年度も現時点で以下の処分が公表されています。この問題を個々の管理会社の体質と結論づけるのは非常に危険です。多くの管理組合の運営に対する認識の低さ=管理会社に丸投げの構図がある限りどこの管理組合でも起こりえることなのです。もちろん公表されている管理会社でも適正に管理されている物件も多くあると思います。管理会社は営利を追求する民間の事業会社ですので基本的に管理組合とは利益相反関係にあります。管理組合側が任せきりであれば、管理会社は当然緊張感が無くなりこうした不正の温床になりかねません。

昨年、14管理組合被害総額 9億円以上の被害が出たビケンテクノの問題に関しては、現時点では国交省から行政処分が出ておりません。管理組合の皆様は、管理会社だけを一方的に非難するのではなく自分たちの資産を守るために出来ることを考え出来ることから取組むことが必要だと考えます。そのことは管理会社に一定の緊張感を与え被害を防ぐ結果に繋がることになります。今回公表された3ケースいずれも国土交通省の処分は「改善措置指示」という対応です。指示処分とは、「従業員に対する教育周知徹底を図ること及び業務体制の整備に努めること、その実施状況を報告すること」というものです。前回の関連記事に記載しましたが日本の管理会社への規制は限定的で甘すぎるために抑止力が弱く同様な事件が後を絶ちません。これらの現状を見れば自分達の資産は自分達で守るしか術はないことがおわかりいただけただけることと思います。
前回の関連記事はこちらをクリックしてご確認ください。

令和6年度国土交通省公表(11月13日現在)

改善措置指示

令和6年3月22日

関東地方整備局は、日本ハウジング(本社:東京都新宿区)が管理事務を受託している複数の管理組合において、管理組合財産を同社の従業員が窃取により毀損し、当該管理組合に損害を与えた。当事実は、マンション管理適正化法第81条第1号に該当するものであり今回の指示処分(改善措置指示)をおこないました。

同社直近の処分歴
◆令和3年12月24日元従業員による横領着服・処分 改善措置指示

尚、同社は今年5月に、米ゴールドマン・サックスが設立した公開買付会社を通じて、 MBOを行い、同社の普通株式に対する金融商品取引法及び関係法令に基づくTOB(公開買付け)を行うことを決議し、 同社株式は整理銘柄指定期間2024/8/9~9/1の後、今年9月2日に上場廃止となりました。意思決定の迅速化、事業基盤の強化、 M&A及び海外事業の拡大が目的としていますが不正防止策等のコーポレートガバナンスの強化が望まれます。

改善措置指示

令和6年3月27日

九州地方整備局は、ダックス(本社:福岡県福岡市)に勤務していた従業員が、管理を受託していたマンション管理組合から数千万円を着服したとして、同社に対し、マンション管理適正化法に基づき、再発防止などを指示する監督処分を行いました。
発表などによると、元従業員は2010年から2022年12月頃の間、県外のマンション5組合で数千万円を着服したということです。同社は従業員を解雇し、刑事告訴したということです。

(1)元従業員が2010年から2022年12月の間に、5管理組合の資金数千万円を横領着服した。(法第81条第1号)
(2)複数の管理組合で会計の収入及び支出の状況に関する書面の不実記載(法第76条及び法施行規則第97条第5項違反)
(3)複数の管理組合で管理事務報告書の不実記載(法第77条及び法施行規則第88条違反)

改善措置指示

令和6年8月20日

近畿地方整備局は、長谷工コミュニティ(本社:東京都港区)に対して(1)同社の元従業員が管理組合の財産を着服した。 (2)管理組合に対して会計報告で事実と異なる記載で会計報告を実施した。 (3)管理組合に対して管理事務報告で事実と異なる記載で事務報告を実施した。 (4)重要事項説明会の日時及び場所について掲示をしなかった。 (5)重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなかったとして改善措置指示処分を行いました。

国土交通省ネガティブ情報等検索サイト(マンション管理業者)

上記は国交省が公表したマンション管理業者に対する行政処分ですが、事件として表に出てこないケースは想像以上にあると感じています。

2024/11/14

門司区建設予定の複合公共施設 入札の応募なし 

北九州市資料より画像引用

門司区複合施設入札業者なく不調に終わる!

北九州市門司区に建設予定の複合公共施設の整備事業をめぐり、建設業者を決める入札の応募が1件もなく、不調に終わったことが判明しました。
市は物価の高騰などが背景にあるとみて、今後、改めて入札を行い、予定どおり令和9年度中の完成を目指す考えのようです。
門司港地域モデルプロジェクト再配置計画のなかで市は「目的と経緯」「今後の進め方について」以下の様に説明しています。*以下市ホームページより引用
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事業の目的と経緯
 門司港地域に点在している公共施設(区役所、市民会館等)は、築90年を超えるものがあるなど、耐震性やバリアフリー面での対応が十分でなく、老朽化し安全面や衛生面などに課題を抱えています。
 この事業は、平成27年度の「北九州市公共施設マネジメント実行計画」に基づき、約9年間の協議を経て、門司港駅に隣接した交通利便性の高い場所に、点在する公共施設を集約・複合化し、市民の皆さまの安全性・利便性の確保と地域の活性化を図るものとして進められてきました。
 このような状況の中、この建設予定地で令和5年度に埋蔵文化財発掘調査を行ったところ、旧門司停車場の機関車庫の一部や石垣などの遺構(地中に残存する建造物の痕跡など)が見つかりました。
 こうした中、この事業については、市議会の議決もいただき、市民の皆さまや地元の各団体への説明会などでさまざまな意見を伺いながら、一つ一つプロセスを踏んで進めております。

事業の今後の進め方
 老朽化が著しい公共施設への対応は「待ったなし」の状況であり、長い歳月をかけた議論に基づき、「市民の安全安心が第一」との考えにより本事業を計画通り進めることとしています。
 遺構の取り扱いと施設整備の在り方については、これまでさまざまな検討を行ってきましたが、現計画より施設の完成時期が遅れ、大幅なコスト増となるなど、市民の皆さまにさらに不便や負担を強いることが想定されます。
 そのため、施設整備については、まず遺構の調査や記録保存を行った上で、今年度中(令和6年度6月補正予算として議決)に整備に着手し、令和9年度の竣工を目指すこととしています。
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令和6年度北九州市春季一般競争入札では6割以上が不調に終わる

北九州市資料より画像引用

北九州市は、門司区の門司港エリア周辺にある区役所や図書館など、老朽化している複数の公共施設を1か所に集約するため複合公共施設を建設する予定で、令和9年度中の完成を目指しています。候補物件のなかには、門司区役所庁舎のように1930年度建築もの、1957年度建築の市民会館などがあり老朽化が進み安全面、衛生面等で対応が急務だと思います。
今回の件では、同複合公共施設建設予定地で見つかった「初代門司駅」関連遺構をめぐり、地元住民等からは保存を求める声もありその影響がかなりあるとは思いますがその他に物価の高騰や技術者不足、人件費の上昇等の影響もあると考えられます。
実際に、北九州市令和6年度春季一般競争入札でも13物件の内落札は5物件のみで6割強が不調に終わっています。
北九州市都市再生推進部は「入札が不調に終わったことで、整備が遅れる可能性はあるが、令和9年度中の完成を目指したい」としています。

建設業界に於ける2024年問題など業界を取り巻く環境はより一層厳しさを増しており公共施設だけではなくマンション等民間建設工事、大規模修繕工事等にも物価の高騰や技術者不足、人件費の上昇等の影響でコスト上昇をもたらし最終的に今以上に発注者への負担増加に繋がることが懸念されます。

2024/11/8

福岡県マンション管理士会主催セミナー&相談会 

一般社団法人福岡県マンション管理士会主催セミナー&相談会を国際会議場で開催します。
所在地: 〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目9−30 2F
1.開催日   令和6年10月27日(日)
2.無料相談会
 第1部 10時~10時50分
 第2部 11時~11時50分
 
3.セミナープログラム   
セミナー開始:13時20分  理事長 藤野雅子 挨拶
第1部:13時30分~14時30分  講 師 マンション管理士 引間金夫  テーマ 「マンション標準管理規約改正について」
第2部:14時40分~15時  講 師 北九州市 住まい支援室民間住宅担当係長 原野真由美様テーマ 「マンション管理支援制度について」
第3部:15時~15時30分  講 師 マンション管理士 山下誠吾  テーマ 「ガイドライン改正のポイント」
第4部:15時30分~15時50分 質疑応答
4.相談会(要予約)  第一部 10時~10時50分  第二部 11時~11時50分
5.参加費    無料
6.申込方法   参加をご希望の場合は、予約をお願い致します。

QRコードもしくは下記フォームから申し込みください。

※FAXやメールからでもお申込みできます。
必要事項(参加者人数・参加者お名前・代表者の連絡先・セミナーもしくは相談会)を下記連絡先までお問合せください。
(一社)福岡県マンション管理士会 事務局
電話番号   092-524-9288(受付は、平日13時~16時)
FAX番号  092-402-3348
E-mail info@fukuoka-mankai.com
詳しくは(一社)福岡県マンション管理士会 事務局までお問い合わせください。

2024/10/17

管理会社による第三者管理に国交省が警鐘を鳴らす

理事会廃止型の管理会社による管理者方式は危険と隣り合わせ!

昨今マスコミ等でも管理会社による管理者方式の危険性が取り上げられる機会が増えています。実際に関連する記事等をご覧になった方もおられることと思います。
私も、このブログで何度か同問題について記事を書いてきましたようやく国土交通省もこの問題を放置すれば社会問題になるとの危機感を感じたようで対策を取り始めました。

今年6月、国土交通省は「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を策定しました。その中でも管理会社による管理者方式のリスクを緩和するための注意点を提示しました。詳しくは、国土交通省のサイトをご覧ください。そのなかで特に、管理業務と理事長業務を兼務する管理会社を監視する「監事」の役割が重要視されており、外部の専門家(弁護士・公認会計士・税理士・マンション管理士等)を監事に専任することが推奨されています。

この「第三者管理者方式」が管理会社によって悪用されれば、管理組合が大きな損害を負うことになり、国土交通省はその危険性を指摘しています。例として管理会社が自社に有利な条件で大規模修繕工事を発注を行うことで、管理組合に大きな損害を与える可能性が高まるとしています。特に「管理会社による第三者管理者方式」のなかで、マンション管理組合が、管理業務を外部の管理会社に委託を行い、理事会を廃止したうえで、管理会社が理事長の業務を代行する運営方式を国土交通省は問題視していると考えます。

管理会社による横領等が相変わらず発生している問題の際にも取りあげましたが、海外のマンション管理に関する法体系について調べると、明らかに違うのは利益相反取引に対しては、全面禁止という厳格さです。海外では、自社の系列企業に修繕工事させるなどありえないのです。なかにはトンネル会社を使い修繕工事を行うところもあると聞いております。ドイツやフランス等ではバックマージンも全面禁止です。管理会社がバックマージンを受け取れば、解任・解約だけでなく、訴訟問題になります。また、日本の区分所有法では「規約に別段の定めがない限り」という表現が随所にありますが、海外ではこのような表現は見受けません。逆手に取れば規約に別段の定めをすれば管理組合に不利な運営になる可能性もでてきます。このように海外と比較すれば、日本のマンション管理は後進国であり、今回の国土交通省の動きが適正なマンション管理のきっかけになれば管理組合にとっても良い一歩だと思います。

2024/10/13

2024年10月保険値上げ!過去最大の引き上げ幅に

ファイナンシャル・プランナー、マンション管理士 大田 司

今年秋にもマンション保険料、全国平均で13.0%引き上げ予定!

最近、食品や日用品、光熱費、物流費、医療費など、さまざまな分野で値上げの動きが止まりません。マンションの管理費も、今後値上げが避けられない状況です。マンション総合保険の保険料も2022年10月に値上げされたばかりですが、2024年度にもさらなる値上げが予定されています。過去最大の引き上げ幅で、マンション管理組合にとっては2024年問題と言っても良い状況です。

損害保険料率算出機構は、昨年2023年6月に金融庁へ参考純率改定を届け出をおこなっています。今回の改定によって、参考純率が全国平均で13%上昇。また、市区町村別に水災リスクを5区分に分けて評価し、水災リスクが高い地域ほど水災補償の保険料率が高くなる仕組みへと変更になります。

今まで最大の引き上げ幅となった、2022年10月の保険料率改定をはじめこの10年程度を見ても、4回見直しが行われています。感覚的には、常に右肩上がりの状況です。

なぜこうも火災保険料は頻繁に値上げされるのか。その最大の理由は、保険金の支払いが増加したことで、損害保険会社の収支が悪化し、火災保険の仕組み自体が成り立たなくなる可能性があるためです。保険金の支払いが増加した背景には、主に「自然災害リスクの増加」と「高経年マンションの増加」が挙げられます。
近年、大型台風やゲリラ豪雨などによる自然災害が多発しており、保険金の支払いが金額・件数ともに増えていることも影響しています。特に2018年度と2019年度は、大規模な台風や豪雨の影響によって保険金の支払額が激増したことがありました。

地球温暖化や気候変動が叫ばれる中、自然災害の発生リスクは今後も高いとみられることから、長期トレンドで見ても保険金の支払い請求は増加傾向で推移する可能性が高いと思われます。損害保険会社の収支の悪化を防ぐために、参考純率のさらなる見直しと、それに伴う保険料の値上げは避けられない動きといえるのではないでしょうか。
前回2022年10月の改定で10年の長期契約が廃止されたことも、「自然災害リスクの増加」が影響しています。火災保険の保険料率は、契約期間中の災害の発生割合を推計して決められることになっていますが、近年の相次ぐ自然災害により、長期的なリスク予想が困難になってきていることが長期契約の廃止の背景にあります。

一方、「高経年マンションの増加」も保険会社の運営をより難しくしています。損害保険料率算出機構の発表する資料によれば、保有契約件数のうち、築10年以上経過している住宅が占める割合は、2016年度時点で68.2%だったものが、2020年度には73.5%に増加しています。築年数が古い住宅の割合は、今後ますます増加することは確実であり老朽化に伴い、電気設備や給排水設備などの劣化が進み、火災や水漏れといった事故が発生しやすくなります。そのために、古い住宅が増加すると事故の発生リスクも増加するものとして、そのリスク傾向が参考純率に反映されるため結果として保険料の値上げに繋がっています。

特に、マンション総合保険で保険金の支払い請求が多いのが漏水関係の保険事案です。火災保険では「水濡れ(漏水)」といい、給排水設備の事故や、他の住戸からの漏水被害などが該当します。中でも、給排水設備に関する水漏れの場合、給排水管の老朽化が原因であることが少なくありません。

こうした事故で安易に保険を使い対応を行うと、次回の更新時に予想外の保険料値上がりが発生することもあり注意が必要です。損害保険会社や契約内容によって違いはあるものの、通常事故の発生数(カウント率)によって、保険契約の割引率が変わってくる場合が少なくないため次の契約更新の際に、割引率の引き下げという形で反映されてしまい、保険料の大幅な値上げにつながってしまうこともあります。
こうした事故の場合、管理組合としては安易な保険利用をせず、責任の所在を明確にし、ケースにより加害者が加入している個人賠償責任保険や、被害者が加入している火災保険(水濡れ特約など)も視野に入れた対応を検討することが保険料の値上げを抑えるひとつの選択肢になります。

値上がりが続くマンション総合保険への対応方法について

このような状況に於いて管理組合は今までの様に全て代理店任せ、管理会社任せで保険の手続きをおこなうことは場合によっては皆さんの大事な資産流出を招く恐れがあります。まずは、以下の基本的な対応方法について理事会等で協議することが重要です。

(1)現在の契約内容を見直す
現在の保険の契約内容が、マンションの現況に合っているか確認することも大切です。たとえば、建物が損害を受け、建て直しや修理、再取得する際に必要な「再調達価格額」の設定が過剰になっていないかなど、保険金額や補償内容を精査し(地震保険含む)、不要な内容を見直し、外すことが可能か検討してみる必要があります。

一例として免責金額(自己負担額)を上げることで、保険料を安くすることも可能です。保険金は、受取額が2万円であっても、あるいは700万円であっても、保険請求としては同じ1件として扱われてしまいます。保険の請求回数が多いと先述した様に事故の多いマンションと判断され、次の更新時の保険料に値上がりが起きてしまいます。金額によっては、あえて保険を使わずに済ませたほうが得策の場合もあり、無理のない範囲で免責金額(自己負担額)を設定するという方法も選択肢のひとつです。
また、特約を外して保険料を削減する方法もありますが注意が必要です。たとえば個人賠償責任保険(包括契約用)を外す場合には、区分所有者の火災保険や個人賠償責任保険への加入状況も無視できず、不用意に外してしまうと問題が生じる可能性もありますので、特約の扱いに関しては慎重に判断したいところです。

(2)保険期間を最長の5年にする
管理組合の中には、たとえば長期契約をしたくても、予算の都合上、一括でまとまった金額を支払えないという理由から、保険を1年契約にしているところもあると思います。もちろん1年契約のメリットもあり、毎年保険の契約更新の案内が来るので、先が読みにくい現状に於いて保険見直しの機会を与えれることになります。ただし更新手続きを毎年行う必要があり、長期契約よりも1年当たりの保険料が割高になるというデメリットもあるので、マンションの財政状況と相談しつつ、できれば最長の5年契約を選ぶようにしたほうが良いと思います。

(3)保険各社の相見積もりを取る
多くの管理組合では、管理会社を通して保険契約を行っているとおもいますが、管理会社自体が保険代理店になっている場合が少なくありません。管理会社に新しい保険の見積もりを頼んでも、管理会社の提案したい内容の見積もりが出てきてしまうことが多いため、他の保険代理店にも依頼して、複数の見積もりを取るようにすることが大切だと思います。
マンション総合保険のプランや補償内容は保険会社ごとに違いがあり特徴のある商品もありますので、保険料の高低だけでなく、自分の管理組合に合ったプランや補償を見つけるためにも、相見積もりを行うことは効果的といえます。

尚、保険料は参考純率の引き上げを受けてから、一定の期間を置いてから改定されるので、新しく保険を契約する場合には、保険料の値上げが実施される前に締結するようにすればメリットを享受できることになります。たとえば保険料の改定が11月1日なら、それ以前に契約を締結する方法です。それには今後の保険料の値上げに関する情報を収集しつつ、理事会等において計画的な協議が必要になります。
保険料の値上げ自体は歓迎できることではありませんが、全て他人任せの保険選びから皆さんの大切な財産を守るための良い見直しの機会と捉え、来る保険料の値上がりに備えて、理事会等で保険内容の精査と保険料の削減に取り組んでいただきたいと思います。

2024/3/31
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