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予防法務の専門家(行政書士)として登録申請中!

綜合事務所ネクストステージとのシナジー効果でクライアント様をサポート!

今回予防法務の専門家(隣接法律専門職)として行政書士登録に向けて申請中です。最終的に登録が決まれば業務の準備開始することになりますが現在は登録前ですので資格名を表記することも業務をすることも出来ませんが予定業務について簡単にご紹介したいと思います。

そもそも行政書士という資格に興味をもったのはマンション管理業務関係で作成する管理規約・各種契約書・議事録・決算書・内容証明・合意書等権利義務・事実証明に関する書類等は、弁護士又は行政書士の独占業務だということがきっかけになります。
現在、日本には1,000以上の資格があると言われていますがそのなかでも、特に8士業と呼ばれている国家資格があります。弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社労士などで共通する特徴は職務上、戸籍・住民票などを必要な場合に請求できる請求権が認められている点があります。戸籍と住民票などは、特に扱いが慎重になる個人情報で、誰でも請求できるわけではありません。8士業については国からこの権限を与えられている専門家になります。そのため審査と情報の登録・情報の公開が義務付けられています。またそれぞれ独占業務があり一般事業会社等が参入できない障壁があります。
20代の頃、法律資格に興味があり行政書士という資格があることは認識していましたが数十年ぶりに再び興味を持った次第です。試験問題を確認すると当時とは難易度が桁違いに上昇していました。本来争いごとが苦手なタイプですので法律関係は性格的に向いていないと思いましたが行政書士の場合は争いを未然に防ぐ予防法務的な性格が強い業務がメインのため取得する決意をしました。

当時管理会社に勤務していましたので激務のフロント職を担当しながら隙間時間を使い勉強することは想像以上に大変でしたが元々性格が独学に向いていたためモチベーションを維持し関連資格も含めて合格することができました。その後、合同法務事務所、マンション管理会社等で実務経験を積み今回登録をおこなうことになりました。いま改めて思うのは会社員でフルタイムで働きながら気持ちを維持し勉強を続けるということは学生時代より遥かに大変だと感じております。同僚がお酒を飲んでいる時やテレビ等を見ている時にストイックに自己啓発に取り組むという事は本当に良い経験をしたと感じています。結果的に、金融関係・不動産会関係・法律関係の包括的知識の習得が出来、現在の土台を気付くことができました。これからも資格取得にこだわらず生涯学生として常に知識のブラッシュアップに取り組んでいきたいと思います。

ここ北九州市は60年ぶりに人口減少に歯止めがかかりました。企業誘致も進み郊外での農地転用・開発許可の特例措置、物流拠点地区の推進(物流総合効率化法の認定)など専門家としてサポートできる事はあると思いますので微力ですが街の発展に貢献していきたいと考えております。またマンション管理組合サポートに於いても対応できる業務が大幅に増えることからサービス内容を見直す予定です。最後に予定業務について簡単にご紹介させていただきます。

当事務所が行う予定の業務(例)
各種許認可申請や書類手続き
会計記帳、決算、財務諸表の作成など
ビジネスコンサルタント(中小企業に対する法務的観点からのアドバイス)
トラブルを未然に防ぐ予防法務(権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出)
遺言書の起案・作成の支援・相続手続き・任意後見
自動車登録関連・運送業・物流・海運業関係
土地活用(畑や家を売りたいなど土地関連の申請手続き)
マンション管理組合へのワンストップサービス(主要基本業務の実務代行が可能)
日本国籍取得に向けての帰化申請手続き、在留資格取得など
市民法務(管理組合相談、クーリングオフ、契約書・農地転用の相談)など

2025/3/18

積立金4000万円余り着服容疑で管理会社元社員逮捕!  

9億円以上を着服した疑いがある元社員が管理組合の告訴により逮捕!

一昨年12月にブログで取り上げましたビケンテクノの件で元社員が逮捕されました。容疑はマンション管理組合の修繕積立金など4000万円余りを着服したということです。逮捕されたのは大阪府吹田市にあるビルメンテナンス会社「ビケンテクノ」の元課長、亥野宏一郎容疑者(68)です。
警察によりますと、おととし10月までのおよそ4か月間に、大阪・中央区にあるマンションの管理組合が集めた修繕積立金などおよそ4700万円を着服したとして、業務上横領の疑いが持たれています。
元課長は当時、会社で管理業務の責任者を務めており、着服した金は第三者の口座を経由してみずからが管理する口座に送金した疑いがあるということで計画的で悪質です。
被害のあった管理組合が今月刑事告訴していたということで、調べに対し、容疑を認めているということです。
元課長は会社の調査で2015年以降、関西の14の管理組合からあわせて9億1000万円余りを着服した疑いがあることが分かり懲戒解雇されており、警察が詳しいいきさつを調べています。

今回の発覚を受けビケンテクノでは、有識者による第三者委員会をたちあげ第三者委員会等報告書が公表されております。

第三者委員会等報告書の内容を一部引用

そのなかで不正の原因は、「主に管理体制と内部監視の欠如に起因している。マンション管理課において元課長が長期間にわたり独占的に業務を担当していたことが問題であった。ジョブローテーションが行われず、元課長の業務内容に対する、上席者等の監視や牽制機能が機能していなかったため、不正行為が見過ごされた。
 また、業務手順の明文化がされておらず、各担当者が独自に業務を進める状態が常態化していたことも不正を容易にしたといえる。特に、マンション管理適正化法で義務付けられている「通帳と印鑑の分別管理」が徹底されておらず、元課長が両方を管理していたことが、不正の実行を可能にした要因である。
 さらに、経理部や内部監査部門、監査役など他部門の監視も不十分であり、元課長の不正行為に対する組織的な抑止力が欠如していたことも重大な要因とされる。このような管理不備や内部統制の甘さが、不正行為を長期間にわたって許容する結果となった」。としています。

東証スタンダード企業といってもマンション管理事業は非主要業務であり売り上げに占める割合は僅か数パーセントとうことであり業務全般に於いて脆弱な管理体制だったということです。

また再発防止策については以下の内容が挙げられています。
「マンション管理課における再発防止策
(1)適正化法に基づく業務遂行体制の構築
  適正化法に従い、通帳と印鑑の分別管理を徹底し内部統制を強化する体制を構築。
(2)マンション管理課の業務手順の策定
  業務フローを文書化し、業務遂行手順を明確化することで不正の発生を防止。
(3)マンション管理業務に関する体制面の改革
  管理組合に対する業務を再編成し、適正な業務分担と監視体制を強化。
(4)人事ローテーションの拡充
  特定の担当者に業務が集中しないよう、定期的な人事異動を実施し牽制機能を向上。
(5)子会社によるマンション管理業務の承継
  一部の業務を子会社(マンション管理業務を主たる業務としている)に移管。
・管理部門等における再発防止策
(1)経理部
  債権管理の強化や定期的なモニタリングを実施し、未回収債権への対応を迅速化。
(2)監査室
  内部監査機能を強化し、定期的な監査とフォローアップを徹底。
(3)監査役会
  監査役の独立性を保ち、監査役会の監視機能を強化することで経営監視を徹底
■ その他
 長期にわたりマンション管理課において不正が見過ごされていたため、同社のガバナンスにも問題があるとされた。特に内部通報制度や監査体制の見直しが急務とされている。」

最後にその後の経緯として今回の件で役員の処分が示されております。
■1 役員の辞任等
2024年2月14日に、代表取締役会長・社長の役員報酬を30%減額(3ヶ月間)、その他取締役・監査役も20%減額(3ヶ月間)、することを決定した。
■2 会計監査人の異動
なし

このなかで抜本的な再発防止策として、(5)マンション管理課の業務の一部を同社の連結子会社(マイムコミュニティー)に移管するという項目が入っています。しかし関連情報によると同社が管理する管理物件のうち、理事会が設置されておらず管理業者が管理者に就任しているものが37 件。そのうち約7割の管理物件については、マイムコミュニティー自身が管理者となっており、印鑑を保管して出納の承認を行っているという気になる情報があります。昨今この方式については問題が表面化し始めマスコミ等でも度々取り上げられています。私自身もこの方式は常にリスクと隣り合わせであり法に違反さえしなければ問題ないとする企業姿勢に疑問をもっております。

またこれだけの巨額の着服事件を起こしたその責任が上記の役員報酬20~30%の減額です。当事者の管理組合や世間一般から見てこれが妥当な対応でしょうか?
2023年11月に今回の事件が表面化しそれから1年以上経過していますが、未だに国交省の行政処分は出ておりません。前回の記事にも書きましたがこれが国家資格に基づく士業(専門家)であれば一発レッドカードです。

いずれにしても今後管理組合、関係者の厳しい視線を浴びることになると思われますので再発防止に全力で努めていただきたいと思います。

2025/1/23

2025年(令和7年)新年のご挨拶

謹んで新春のお慶びを申し上げます

旧年中は たくさんのお問い合わせ御相談を賜りまして、
誠に有難うございました。

本年は 管理組合様を始め地域企業様・市民の皆様へ
さらなるサービス提供を目指すため誠心誠意努める覚悟で
ございますので 宜しくお願い致します。

寒さ厳しい季節ではありますが、どうぞお身体に
気を付けてお過ごしください。
今年が皆様にとって、笑顔と希望あふれる一年と
なりますように。

本年も何卒、よろしくお願い申し上げます!

代表経営責任者 大田 司

2025/1/1

東急不動産「施工不良マンション解体・買取り提案で混乱」!

東京都世田谷区「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」

施工不良物件問題で当初の立替えから一転買取り・解体の方向

前回のブログで大和ハウス工業の問題をとりあげましたが今度は東急不動産が建築基準法違反に加え安全性に問題があるということで分譲マンション「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」設計・施工:東急建設、販売:東急不動産(鉄筋8階建て、49戸)を買取・解体するという提案を管理組合に示し混乱を招いています。東急不動産は、総合不動産業では、旧財閥の流れを汲む三井不動産、三菱地所、住友不動産に次ぐ業界4位です。

今月11日マンション管理組合の住民や弁護士らが、都内で記者会見して明らかにしました。管理組合側によると2018年以降、1階でカビが発生するなどの問題が起き、管理組合がコンサルタント会社と調査を実施。その後、東急不動産側の調査で、はりや床などに開いた多数の穴や、耐震壁のひび割れなどの複数の施工不良が確認されたということです。結果を踏まえ東急不動産は2021年、管理組合に「補修工事では安全性の確保が困難」として建て替えを提案し、仮住まいの住居を提供。全住民がいったん退去し、現在建物は鉄骨で仮補強されている状態です。 さらに、マンションの向きが建築前の図面より、真北が西側に14度ずれていることが測量作業で判明。この場所で建てられる建築基準法の高さ制限に違反していたという信じがたい事案です。報告を受けた世田谷区は2024年11月、違法状態を是正するよう管理組合と東急不動産に対して行政指導をおこなったという流れになります。

この後東急不動産側が立替えを提案しておきながら一転し、建て替えずに買い取って解体するという意思を示したため一部の組合員等が対応に疑問を抱いているということです。東急側は今年12月20日までに買い取りを承諾しなければ、仮住まいから退去するよう求めるというもので管理組合の役員は「建て替えを希望する住民もいるなかでひどい対応だ。東急不動産には誠意をもって対応してほしい」と会見で伝えたということです。

施工不良問題に加え測量ミスで建築基準法違反という悪夢!

今回の件では、施工不良の問題に加え図面と建物の位置がずれており建設場所がそもそも間違っていたため、高さ制限に引っ掛かっかり、そのせいで立て替えようにも現在の戸数を確保できないことが判明したということです。日影規制、高度斜線規制等の建築基準法違反状態にあり、高さの制限など法律に合わせるように再建築すると、戸数はおよそ半分の25戸ほどになってしまうようです。
この問題に関して、東急不動産は「測量ミスによるもので、故意の偽装ではない」と説明しています。具体的には、施工時に行われた測量に誤りがあったため、建物の向きが設計通りに建てられなかったという見解です。しかし施工した東急建設は実績も経験も十分あり専門職も関与する測量に於いてこれ程の初歩的なミスが見逃されるということがあり得るのでしょうか?
また築年数から当然完了検査も行われていますので当時の検査についても問題はなかったのかも気になるところです。

マスコミの質問に対して東急建設の担当者は、「構造上の欠陥はあったが、補修はしてきた。建物が倒壊するような安全性の問題があるとは思っていない」と釈明。「品質は重要で、こういうことがまた起きないように取り組みたい」と述べた。というこです。 

しかし、このような問題が発生した背景には、施工管理の甘さやチェック体制の不十分さがあったのではないかという指摘もあります。建設業界はこれまでの価格競争と重層下請制度に加え近年は事業者側から一段と厳しいコスト削減と工期短縮の要求が付け加えられています。
建設現場では従来、人的な関係を含めた信頼関係と職人としてのプライドが品質を維持してきたものの近年の価格重視の下請け依存に傾斜した結果、丁寧な作業を心掛けようという意識が生まれにくくなる環境が出来上がってきています。
少しでも安く、少しでも早く、ということが前面に出て、品質上の重要な要素を軽視してまで営利を追求しなければいけない構造がこうした背景にあるのではないかと考えています。前回の記事にも記載しましたが行き過ぎた金融資本主義の拡大がこうした背景を生む土壌になっているのではないかと思います。今こそ経営の神様と呼ばれた故松下幸之助氏が残した「企業は社会の公器」という言葉の意味を考える時ではないでしょうか?

東急不動産側は、「早期解決を目指し、住民との合意形成を進めたい」としており、できるだけ早く問題を終息させたいという意向を示しています。
しかし、組合員等との信頼関係が大きく損なわれている現状では、このような方針に対して組合員等からの反発が強く、解決には相当な困難さと時間がかかることが予想されます。

2024/12/18

横浜の教訓生かせず「杭未達」で商業施設が14cm沈下

「ミソラタウン掛川」(フジ都市開発提供)画像引用

大和ハウス工業が設計・施工した商業施設が沈下、耐震性に重大懸念

2015年10月に発覚した横浜のマンション「パークシティLaLa横浜」の杭施工データ改ざん事件。同じく横浜市内の「パークスクエア三ツ沢公園」では杭施工データ偽装とされる傾斜が発覚。どちらも建て替えという結論になりまだ記憶に新しいなか今度は、大和ハウス工業が設計・施工して2023年5月に開業した静岡県掛川市内の商業施設「ミソラタウン掛川」で地盤が最大14cm沈下し、今年11月7日から施設の使用停止を余儀なくされている事態になっています。大和ハウス工業の調査では、現時点で5本の基礎杭が支持地盤に到達していないことが明らかになったとしていますが今後の調査でさらに増える恐れがあります。建築主のフジ都市開発(静岡市)は調査後の建物解体や建て替え、大和ハウス工業への賠償請求を検討しているということです。
商業施設「ミソラタウン掛川」はフジ都市開発が総事業費約30億円を投じ、23年5月に開業。A~Dの4棟から成り今回の問題はA棟で発覚したということです。A棟の基礎杭は7~12mで計72本あり大和ハウス工業は今年11月までに9本を調査。このうちの5本が支持層に2~8m到達していないことが判明したということです。同社は、未達が判明した杭の周囲にある5本も支持層に到達していない恐れがあると見ており同社は杭の調査を25年1月ごろまでに終える予定だということです。
異常がなかったB~D棟では通常通り営業を続けるが、A棟に入居していたスーパーやドラッグストアなどのテナント3者は休業・閉店を余儀なくされた。フジ都市開発とテナントとして入居する遠鉄ストア(浜松市)は、大和ハウス工業に対する損害賠償請求を検討しているということです。横浜の件で大きな社会問題になり建設業界も危機感をもって再発防止に取り組んでいると思われた中での今回の問題発覚です。

各業界大手企業で続く基礎杭偽装問題と免振ゴム偽装問題

2015年10月に発覚した「パークシティLaLa横浜」は事業主(デベロッパー)が三井不動産と明豊エンタープライズ、設計・施工は三井住友建設。「パークスクエア三ツ沢公園」は事業主が住友不動産、設計・施工は熊谷組。日本を代表する大手企業が名を連ねています。問題の杭は、旭化成建材が施工したDYNAWING工法の杭であり建設時に必要な地盤調査の一部をせずに別のデータを転用するなどして基礎工事を行い問題が発生した。横浜のマンションでのデータ偽装が発覚した後、旭化成建材は杭工事をした45都道府県の3040件について、施工報告書を調べて、約300件で杭のデータ偽装の疑いがあり、50人近くの現場責任者の関与が判明しました。
このような国内有数の大手デベロッパーやゼネコンが手掛けているにもかかわらず、偽装が防げず大きな社会問題になり、今回、再び国内有数の大手住宅総合企業である大和ハウス工業が設計・施工した建築物で問題が発生しました。「大手だから安心」という本質的な答えにならない漠然とした理由で信用することが実は非常に不確かな脆いものであることが改めて浮き彫りになりました。

今回の事件とは別に福岡の賃貸タワーマンション「カスタリア大濠ベイタワー」(地上30階、高さ97.67m)では2015年に東洋ゴム工業(現TOYO TIRE)によって検査データ偽装された免震ゴムが使用されていたことが発覚しその影響で現在解体中になっています。まだ築15年という物件での解体となりました。この件についてはTOYO TIREが免震偽装の責任を取って自らマンションを買い取るという異例のケースで終結しました。売り主は大和ハウスリート投資法人。

基礎杭問題が起きる要因と建設業界の問題点について

画像引用:大和ハウス工業資料

杭は構造物をささえる土台であり、この土台が揺らげば、その上の構造物は本来の機能を発揮することはできないことは誰が考えてもわかることです。
杭は地中に設置されるため、施工の品質を目で確認する事ができず、施工記録が品質確認のほとんど唯一の手段であるというのが実情です。この記録が改ざん・流用されてしまえば、元請ゼネコンの現場担当者では杭の工事業者から提出された施工記録から改ざん・流用を見つけ出すことは困難であると言われています。日本の地質は世界一複雑であるといわれます。基礎地盤の複雑さや場所による変化の激しさも同様であり、大きな構造物をつくる場合は、地質調査が義務付けられ、そのデータにより地質断面を想定し、杭基礎の場合は先端を設置する支持層を決定します。目に見えない地中のため支持層の想定深さと実際の深さに相当の誤差が生じることは避けられず想定する誤差量を大きく設定すれば、杭長は長くなり、原価上昇に直結します。経済性を考えれば、ぎりぎりの設計になりがちで、継杭などの設計変更せざるを得ないケースが生じてしまうリスクが内在しており不確定要素の大きい業務だということです。

建設業界はこれまでの価格競争と重層下請制度に加え近年は事業者側から一段と厳しいコスト削減と工期短縮の要求が付け加えられています。さらに、材料費の高騰に加え2024年4月からは改正労働基準法の施行で労働時間の規制強化等業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。
建設現場では従来、人的な関係を含めた信頼関係と職人としてのプライドが品質を維持してきたものの近年の価格重視の下請け依存に傾斜した結果、丁寧な作業を心掛けようという意識が生まれにくくなる環境が出来上がってきています。
さらに厳しい工期厳守が要求されることが常で、建設工事の全工種にわたって、相当なプレッシャーになっています。特に先述した様に不確定要素の大きい地中を相手にする杭工事については、十分な地質データが求められるにもかかわらず、その調査さえ省略されている実態がおきているということです。仮に想定外の事が発生すれば場合によっては元請や発注者との変更協議が必要となるなど、工期が遅れ予算オーバーが発生します。工期遅延はペナルティーの対象になることもあることから余裕のない状態での杭施工が行われ今回のような問題が発生することになります。

単に建設業の偽装問題ではなく金融資本主義の歪が表面化している!

このように外から見えない「基礎工事」は施工にあたる場合、工程管理を徹底することが重要だと言えます。請負施工業者社員が直接作業を行うにしろ外注する場合にしろ、必ず管理技術者が現場に常駐し、施工記録を取ること。材料の搬入から施工記録の確認まで、工事の可視化に努め記録の保存を徹底することが重要であると考えます。先述した様に支持層の想定深さと実際の深さに相当の誤差が生じることは避けられないことを理解したうえで支持層の確認は埋設時の施工記録を確実にとることを徹底することが重要だと考えます。

一方建設業に従事する労働者の高齢化と減少も深刻であり実際に建設労働者の減少には歯止めがかからず特に建設業は他産業と比べて高齢化が進んでおり全就業者数の中で55歳以上の就業者の占める割合は、全産業平均の31.5%に対して建設業は35.9%。29歳以下の就業者の占める割合は、全産業平均の16.4%に対して建設業は11.7%(日建連 建設業デジタルハンドブック)。現在の状況が続くようであれば、人手不足はますます深刻化することになります。
こうした状況のなか、2024年4月からは改正労働基準法の施行で、時間外労働の上限規制の適用が始まり労働時間圧縮のしわ寄せが、施工品質に及ぶリスクが懸念されています。

政府はこうした事態をうけ人手不足を補うために外国人労働者の受け入れを拡大する方向で進めていますが経験の浅い職人を集めても、問題の本質である多重下請け構造や工期短縮の問題、労働者の処遇改善及び施工不良を防ぐための教育や意識が各現場で行き届いていなければ、根本的な解決にはならないと思われます。
こうした問題が発生する度に思うのは日本の経済システムは原点に戻り再構築する時期に来ているのではないかと感じています。少しでも安く、少しでも早く、ということが前面に出て、土台の安全という、品質上の最大要素を軽視してまで営利を追求しなければいけない構造は正常ではありません。行き過ぎた金融資本主義の拡大がこうした背景を生む土壌になっているのではないかと思います。

2024/12/9

コスパ最高の長期修繕計画・修繕積立金算出作成について

 公益財団法人マンション管理センター

修繕積立金算の値上がりに対応できない管理御組合が増加中!

修繕積立金の値上げで合意形成がスムーズに行かないケースが増加しています。新築時では低く抑えれていた積立金がその後、2倍又は3倍以上の変更を管理会社から提案されているというケースも見受けられます。今年6月に示された修繕積立金の額を設定する際のガイドラインでは、将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、「均等積立方式が望ましい方式とされています。しかし現実は、現在販売されているマンションでもほぼ全ての物件が「段階増額積立方式を採用しています。一昨年から始まった「管理計画認定制度」や「マンション管理適正評価制度」では、修繕積立金不足により適切な時期に工事ができないマンションが増加しないように、認定または評価に一定の基準を設定しています。高経年マンションでは、その基準をクリアーするためには、現状の修繕積立金を2倍、3倍以上値上げしなければならないケースが発生することになり組合員の同意が得られず値上げができないマンションが増加しています。そこで今年6月のガイドラインでは以下のような段階増額積立方式における適切な引上げ幅の上限に対する考え方が示されました。

≪修繕積立金の積立方法についての指針≫
国土交通省は、マンションの修繕に備えて所有者が毎月支払う積立金について、引き上げ幅の上限を示しました。急激な引き上げで支払いが滞らないよう、当初と比べて最大でも約1.8倍に抑えるよう提案。修繕資金を安定的に確保するため、計画的な積み立てを促すものです。

段階増額積立方式とは
新築当初は修繕積立金の金額を低く設定しておき、段階的に増額していく方式です。従ってこの方式ではその都度、総会で金額変更の決議と同意を求める必要が生じてきます。

均等積立方式とは
将来予想される修繕積立金の総額を長期修繕計画の期間で割り、新築当初から一定額を徴収していく方式です。
この方式は建物や設備の維持管理に向け、将来的に必要となる修繕にかかる資金を均等に負担していこうという考え方に基づいています。
また、将来の目標金額に向かって的確に管理が行えるため、金額変更に伴う合意形成を繰り返し行う必要もないことから、国土交通省が推奨している徴収方式です。

そもそも修繕積立金のベースとなるものが長期修繕計画でありこの長期修繕計画自体が妥当なものなのか?現実的なものなのか?といった検証をおこなっている管理組合はどの程度あるでしょうか?割合でいうと非常に少ないのではと感じています。また自主管理組合のなかにはそもそも長期修繕計画を作成していないケース、管理会社に委託しているが竣工時の当時のままのものであったり10年以上見直しがされていないものなど不適正なものの割合のほうが多いのではないでしょうか?実際に竣工時に作成された長期修繕計画を基に管理会社が2倍以上の値上げを総会に上程しようとしたケースを目にしたことが複数回あります。そこで検証にも使えるコスパが高いと思うツールについて利用方法等を解説したいと思います。以前ご紹介した住宅金融支援機構が開発した無料で作成できるシステムと比較して国土交通省のガイドラインに沿った様式と編集が可能なエクセルデーターが利用できること等が特徴です。

コスパが高い長期修繕計画・修繕積立金算出作成について

ご存知の管理組合員の方もいると思いますが公益財団法人マンション管理センターでは、マンション管理組合の皆様が現在の長期修繕計画や修繕積立金の額を見直しする際やその内容が適切かチェックする際に、比較検討の目安(セカンドオピニオン)として利用できる「長期修繕計画」の作成とこれに基づく「修繕積立金の額」を算出するサービスを行っています。そこで今回は、センターサイトの該当ページを引用しながら簡単なコメントを加え説明させていただきます。すこし長くなりますが興味のある方は、是非参考にしてください。

補足:この長期修繕計画は、必要な修繕項目全てを周期ごとに機械的に計算されたものです。例えば玄関ドアを周期で全て交換同じくベランダ手摺をすべて交換、給排水管も周期で更新等、現実的には多くの管理組合で修正が必要となると思われます。あくまで30年間の全体像を確認するという事に重点をおくと良いと思います。

↓まずこのサービスを利用していただける事例として以下の記載があります。現状の見直しや参考資料として活用できることになっていますが自主管理等で長期修繕計画を作成されていないケースでもひな形として活用できることも可能だと考えます。実際複数の自主管理組合様に提案してまいりました。ただこれをそのまま使うことは現実的でない項目もあり専門家のチエック・修正等が必要になってきます。

①このサービスを利用していただける事例

  • 理事会又は専門委員会において、専門家に見直しを依頼する前に、現状の長期修繕計画の内容や修繕積立金の額をチェックし、適切な内容か、またどのような見直しが必要か検討する。
  • 理事会又は専門委員会において、長期修繕計画の見直しを依頼した専門家から提出された長期修繕計画の内容と修繕積立金の額の設定について、説明を受けながら内容を比較しチェックする。
  • 長期修繕計画の見直しの結果、修繕積立金を増額したいので、総会・理事会に諮る際の参考資料とする。

↓次に長期修繕計画の内容については以下のように記載されています。紙媒体とCDーROMがセットになっています。実はこのCD-ROMは実情に応じて編集が可能になっています。実際に実務レベルで対応するには知識や経験、編集能力も必要ですが費用対効果は高いと思います。

②このサービスによる長期修繕計画の内容

このサービスにより作成する長期修繕計画は、国土交通省において策定された「長期修繕計画標準様式」を用い、「長期修繕計画作成ガイドライン」及び「同コメント」に沿った内容としています。ただし、次の事項が異なっています。

  • 建物・設備の現状や修繕等の履歴に関して、調査・診断を行わず、提出していただく「入力データ記入票」によっているため、標準様式第2号(調査・診断の概要)は、省略しています。また、標準様式第1号(マンションの建物・設備の概要等)の記載は、「入力データ記入票」の項目のみとなります。
  • 標準様式第4-4号(推定修繕工事費内訳書)の推定修繕工事項目ごとの単価は、一般的な計画修繕工事の実施データ等をもとに設定した標準モデルの戸当たりの額を、マンションの形状、仕様等による係数で補正しています。したがって、推定修繕工事費は、略算となります。
  • 送付する長期修繕計画(成果物)等
    (1)長期修繕計画と修繕積立金(報告書) <紙媒体のもの>
    《長期修繕計画と修繕積立金のサンプルはこちら》(PDF)(外部リンク)

(2)次のファイルが保存されたCD-ROM
○(1)の報告書のPDFファイル
○(1)の報告書のうち、次のシートで構成するEXCELファイル

EXCELファイルの各シート
[様式第1号]マンションの建物・設備の概要等
[様式第4-1号]長期修繕計画総括表
[様式第4-2号]グラフ(長期修繕計画総括表の内容をグラフにしたもの)
[様式第4-3号]長期修繕計画表(推定修繕工事項目(小項目)別、年度別)
修繕項目毎の修繕時期及び金額を変更できる入力シート(*)

(*)このシートは成果物(報告書)には含まれておりません。
このシートで変更した内容が[様式第4-1号]、[様式第4-2号]、[様式第4-3号]のシートに反映されますので、お客様で工事金額や工事時期を色々と変えて試算ができます。

↓次に利用にあたっての留意事項は以下のように記載されています。機械的に対応するため標準的なケースでの算出となっています。また単価については首都圏ベースで算出していますのでやはり修正等は必要になってくると思います。尚、超高層マンション、リゾートマンション、社宅、賃貸マンション等は、対応できません。

③ご利用にあたっての留意事項

対象とするマンションは、中高層、住宅専用の分譲マンションです。複合用途型マンションは、店舗・事務所等の規模が比較的小さいものについては対応が可能です。 なお、超高層マンション、リゾートマンション、社宅、賃貸マンション等は、対応できません。
標準モデルとして、6階建、30戸、平均専有面積75㎡のファミリータイプのマンションを想定しています。 マンションの規模などが標準モデルと異なる場合は、概算の参考値となります。
調査・診断を行っていませんので、建物・設備の個別性(新築時の施工程度、経年劣化の進行状況等)は考慮していません。
推定修繕工事費について、将来の物価変動は考慮していません。また、単価は、首都圏を対象としたもので、地域等による差異は考慮していません。
本計画については、計画期間(30年)の終期における推定修繕工事費の累計額を、修繕積立金の累計額が下回らないように計画しております。
大規模修繕工事の予定年度において、修繕積立金の累計額が推定修繕工事費の累計額を一時的に下回るときは、その年度に一時金の負担、借入などの対応をとることが必要になります。
作成した長期修繕計画は、作成日と管理組合の会計年度との関係から、最大1年間程度のずれが生じる場合があります。過去の実績をもとにモデル的に作成しますので、独自に計画されている修繕予定を反映することはできません。
長期修繕計画の作成は1棟毎となります。1棟毎に「入力データ記入票」の提出が必要です。 複数の棟で構成される「団地型マンション」については、団地全体と棟毎の「入力データ記入票」の提出が必要です。

↓次に作成費用については以下のように記載されています。マンション管理センター登録管理組合やみらいネット登録管理組合では14,000円で作成が可能となっています。それ以外の管理組合については21,000円となっています。もちろん完全オーダーメイドではありませんがコスパは高いと思います。尚。各登録管理組合の内容については各自でお調べ下さい。下の表の項目に外部リンクがついています。

④作成費用

(消費税込み)
(1)マンション管理センター登録管理組合(外部リンク)2棟まで1棟毎に各14,000円(3棟目以降1棟毎に各9,000円)
(2)マンションみらいネット登録管理組合(外部リンク)同 上同 上同 上
(1)(2)以外の管理組合同 上各21,000円( 同 上   各13,000円)
管理組合以外同 上各31,000円( 同 上   各19,000円)

(注)1棟:「入力データ記入票」1セットをいいます。
複数棟でも「入力データ記入票」1セットで提出する場合は1棟となります。
(実際の棟数とは必ずしも一致しません。)

↓最後に利用方法については以下のように記載されています。メールのみとなっていますのでパソコン及びオフィスソフト及びインターネット環境が必要となります。実はこの入力データー記入票が時間がかかかり骨が折れる作業に感じると思います。お手元に管理規約、パンフレット、竣工図書、過去の大規模修繕工事資料、今までの修繕履歴等が必要になってきます。この作業をいい加減にするとせっかくのコスパ最高も意味を成しません。私自身も何度もこの作業を行っていますが一般の管理組合員の方が行うには相当な根気が必要です。逆に言えばこの作業をクリアーすればあとは事務作業ですので一気に完了となります。まずは、どのような入力項目があるのかチエックをされてみてご検討されるのも良いと思います。

⑤ご利用方法

メールにてご依頼ください

入力データ記入票(EXCELファイル)」を入手する
ホームページ(こちら)より、留意事項をご確認の上ダウンロードしてください。
《留意事項はこちら》(PDF)(外部リンク)
《ダウンロードはこちら》(EXCEL)(外部リンク)
「入力データ記入票」に必要事項を入力する
設計図書、分譲時パンフレット等で確認してご入力ください。※シートが2つありますのでご注意ください。
「入力データ記入票」を添付したメールをセンターへ送信する

送信先アドレス

choukei@mankan.or.jp(外部リンク)
メールの表題は、「長計作成申込み(マンション名)」としてください。また、本文には、担当者(入力内容について問合せのできる方)名とその方に日中にご連絡可能な電話番号を必ずご記載ください。(メールでの問合せは行いませんので、ご了承ください。)
センターから長期修繕計画等が届く
2週間程度で長期修繕計画等と請求書が届きます。
作成費の支払い
作成費を指定先の金融機関にお振込みください。

★ 「入力データ記入票」にご記入(入力)いただく内容
・専有部分の面積、建物・設備の概要、建物の形状、建物や設備の仕様、修繕の履歴など
(数値又は選択肢をご記入(入力)いただきます。)
ご不明な点は、以下の窓口にお問い合わせください。

問合せ先 技術部 電話番号 03(3222)1519

外部リンク

長期修繕計画作成・修繕積立金算出サービス

 公益財団法人マンション管理センター
2024/11/23
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