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ドローン外壁調査のメリット・デメリット

ドローンを活用した外壁赤外線調査のメリット

前回では、外壁調査に赤外線を使用したドローンの活用について国がお墨付きを与えたという説明をしました。今回は、ドローンを活用したメリットとデメリット、注意点また現在研究、開発が進んでいる壁面調査ロボットについても簡単に触れさせていただきます。

作業時間の大幅な削減が可能!

まず挙げられるのがドローンによる赤外線外壁調査では、従来の打診で調査を行うよりも、現場での作業時間を大幅に短縮できることです。物件の規模等にもよりますが、打診調査の場合、外壁全面を調査するのに半月から1ヶ月程度の期間がかかります。一方、ドローンを使えば、赤外線カメラでの撮影自体は大体1日程度で終わる場合が大半だと考えます。場合によっては天候不良でドローンを飛ばせないという事態を想定しても予備日を含めても2日程度で対応が可能です。

これが、足場をかけて打診をするとなると打診作業自体に所要期間を要し、さらには足場を解体するなどの作業も発生します。その点、ドローンを使えば前述のとおり作業時間は概ね1日程度で完了します。人数も必要最低限で済むことからフレキシブルな運営が可能です。大型物件等では周辺に警備員が必要となるケースもあると思いますが打診調査と比較すると危険性も低い方法です。

外壁へのダメージが少ない

次にドローンによる赤外線外壁調査は、壁面にダメージを与える心配が非常に少ないという事です。基本的に、壁面から離れた位置を飛行するドローンは、壁面との物理的接触が発生しないためダメージを与えることがありません。
これが、壁面打診調査の場合、場合によっては壁面の劣化が進行しており軽く撫でただけでタイルが剥がれ落ちることも想定されます。
さらには、足場をかける際には固定用のアンカーを壁面に打ち込む必要があります。この穴は、作業終了後に補修はされますが、場合によっては、その穴が原因で劣化が進むことも考えられます。

住民への精神的負担が少ない

外壁打診調査では、足場を組みますので、日当たりが悪くなったり、窓を開けづらくなったりといったプライバシーの問題が出てくることがあります。打診調査の期間居住者にとっては通常より精神的負担が増してしまいます。
しかしドローンによる調査では、外壁打診調査と比較すると大幅に精神的負担が軽減できることになります。

ドローンを活用した外壁赤外線調査のデメリット

このほかにもさまざまなメリットがありますがやはりデメリットもあります。そこで今度はデメリットについて説明いたします。

ドローンを活用した外壁赤外線調査が適さない場合がある

ドローンによる赤外線外壁調査にはさまざまなメリットがありますが、あらゆる場面で使えるというわけではありません。次のような場合では活用が難しいと思います。
前後左右や上方向に逃げ場がないような環境では物理的な危険が伴うため、ドローン飛行は向きません。
隣接するビルとの距離が概ね5m未満の場所
複数本の電線が縦横に張り巡らされているような場所
周囲に電柱が多く飛行が困難な状況の場所等といった場合が当てはまります。
このようなケースでは、ドローンを使える壁面にはドローンを使い、ドローンを使えない壁面は前回簡単に説明したロープアクセス等の手法を併用するなど柔軟な対応が必要になる場合もあります。

天候に左右されやすく雨風に弱い

ドローンはその外見からも解るように、風雨に弱いところがあります。小型軽量の特徴からプロペラが風に煽られやすく不安手になります。また先端技術の精密機械であるため雨(水気)は故障の原因になり厳禁なため取り扱いに注意を要します。

当日の気温や日照の問題がある

ドローンの使用有無に関係なく赤外線調査そのものの注意点ですが、気温や日照の影響を強く受けるということが挙げられます。
理由は、タイルと壁面の間に生じた隙間の空気がタイルが密着した部分よりも温められた状態となっているのを赤外線カメラで捉えることでタイル浮きを発見する手法だからです。
たとえば夏場の晴天で直射日光が1〜2時間当たると、壁面全体が一気に温まってしまい正確なデータを取れなくなってしまいます。
逆に冬場には、終日晴れているような日でないと壁面が温まらず、やはりデータを取れません。
このように気温や日照の影響が大変大きいため、気温変化、日照の強弱、太陽の高さなどをもとに綿密に計算し、壁面がほどよく温まるタイミングを見計らって作業を進める必要があります。私は、この問題があるため業者選定も重要になってくると思います。

法律や条例による飛行制限がある

ドローンの飛行には法律や条例による制限がある場合があります。そのためドローンを飛行させるために特別な手続きが求められたり、状況によってはドローンを飛ばせないというケースも出てくることが挙げられます。

その他、ドローンの飛行が条例で禁じられている公園に隣接したマンションでは、ドローン使用を断念せざるを得ないケースもでてくる場合もあります。ドローンによる赤外線外壁調査を行うに当たっては、航空法の規制や都市・公園の条例に配慮しつつ作業しなくてはなりません。

最後に

このようにドローンによる赤外線調査もメリットだけではなくデメリットもありますが、国土交通省が打診以外の調査方法として、ドローンによる赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものを明確化しておりこれに対応する調査であれば打診調査と同等ということを国が打ち出しているのですから大規模修繕工事の周期長期化をご検討の際は、是非ドローンを活用して12条点検と切り離すことを検討されることをお勧めします。

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参考までに外壁タイルを調査するロボットというものもあります。東急建設など大手ゼネコンや国土技術政策総合研究所、他民間企業などからも発表されています。ワイヤーで吊るすタイプや壁面に吸着することで自走するタイプといった壁面調査ロボットも研究・開発されています。
ロボットが打撃しながら集音して周波数から診断するタイプなど、調査員の能力に頼る打診法のデメリットを解消する手法であることは言えます。しかし、多くがまだ研究段階で改良の余地があること、量産化していないため高コストであること等から、現時点ではそうしたロボットを積極的に活用しているケースは少ない状況です。

2023/6/23

ドローンによる外壁調査(12条点検)について

外壁全面調査はドローンによる赤外線カメラを活用

前回大規模修繕工事を18年周期にすることになれば、「12条点検」の問題が出てくると説明しました。この「12条点検」とは、建築基準法第12条に定められる建築物の定期報告義務のことです。

大規模修繕工事の周期は前回でも説明した通り、特に法令などで定められたものはありませんが、それと同時に実施することの多い外壁の劣化調査は、建築基準法の第12条で定期報告が定められています。
竣工後10年を超えた、もしくは前回の全面打診等調査または外壁の全面修繕工事後10年を超えた次の定期報告までに、歩行者等に危害を加えるおそれのある外壁の全面打診等調査が義務づけられています。

通常3年ごとに行う特殊建築物定期調査の実施年に合わせて全面打診の調査を計画することが一般的ですが現実には予算の問題もあり大規模修繕工事の際に行うケースが多いと思われます。行政機関には、一例として「現在計画中であり○○後には実施予定」の旨の補足説明を報告書に記載して提出するという形をとっていると考えます。しかしこの手法はリスクがあり実際に外壁が落下して被害が出た場合責任問題に発展しかねません。

この前面打診が義務付けられたきっかけが実は、平成元年11月ここ北九州市の10階建住宅都市整備公団の建物屋上付近から壁が崩落し、2名が死亡1名が重症を負う痛ましい事故が発生し、その後も幾度か外壁落下事故が発生したことによります。こうした事態を受けて平成20年4月建築基準法の改正により外壁の全面打診点検が義務付けられました。

現状、外壁の全面打診等調査は、これまでは足場を組んで作業をするのが一般的でした。足場の仮設工事はそれだけで大きな時間と費用がかかることから、現実には、大規模修繕工事に必要な足場を利用して、工事の前に実施するのが一般的です。打診調査で補修が必要な箇所をマーキングし、補修を実施するという流れを考えても合理的だと思われます。このほか従来から赤外線カメラを活用した方法も取られています。

マンションから20〜30m離れた場所から手持ちの赤外線カメラで撮影するという方法です。しかし高層階になると精度が落ちるという問題があります。この赤外線カメラで精度の高いデータを得るには、壁面に対しできるだけ垂直に近い方向から撮影する必要があり、地上からの撮影ではマンションが高層階なるほど壁面に対する角度がついてしまうことで精度が落ちるのです。
望遠レンズをつけて離れて撮影すれば角度の問題は解消されますが、距離が離れることで熱エネルギーを捉えにくくなるため、やはり正しいデータを取れにくいとうのが実情です。
また天候にされやすい事や浮きや割れが認識しにくいこと、隣接する建物との距離が近い場合は撮影が困難なことなど問題がありす。

この赤外線をカバーする方法としてロープアクセスという作業員が2本のロープで身体を支えながら調査する外壁調査を併用する場合もあります。但しこのロープアクセスも対応できない作業場所があったり安全面で対策が必要であるなど課題もあります。また広範囲にわたり打診する場合は仮設足場での作業より費用が高くなる可能性もあります。

この問題点を解消できるのが近年話題のドローンを活用した赤外線カメラによる調査です。
ドローンに赤外線カメラを取り付け調査を行うことで、赤外線データを取れる範囲内の距離、壁面に対し垂直方向に近い位置を保ちながら撮影できます。
理想的なポジションから撮影することで従来の問題点を解消し高精度なデータを得られます。
ドローンは足場を必要とせず、ロープやゴンドラと比べても低コストです。

国の重点施策に沿うドローンを活用した赤外線調査

実は、日本政府の成長戦略会議において、実行計画の項目の一つとしてドローンの活用が以下のように明記されています。

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第2章 新たな成長の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備
5.デジタル技術を踏まえた規制の再検討
(3)建築分野
 外壁調査を行う赤外線装置を搭載したドローンについて、残された課題の検証を本年度に行う。一級建築士等による打診調査と同等以上の精度を確認の上、制度改正を行い、来年度以降、建築物の定期検査における外壁調査で使用可能とする。
2021年6月18日 成長戦略実行計画 内閣官房
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この計画を受け、翌年2022年、国土交通省から発表があり、いわゆる12条点検における外壁の全面打診を規定した国土交通省告示第282号の一部を改正して、打診以外の調査方法として、ドローンによる赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものを明確化しました。適正な調査であれば打診調査と同等ということを国が打ち出しているのです。
調査手法として国のお墨付きがあり、国の政策にも沿うドローンの活用は今注目を浴びていると言えるのです。

大規模修繕工事を18年周期にすることで12条点検の問題点であった費用の問題がこのドローンを活用した赤外線調査で軽減でき且つ精度についても国が認めてくれるのであれば今後検討をしていく管理組合も増加すると考えます。

今回はここまでで終わりにさせていただき次回は、ドローンを活用したメリットとデメリット、注意点また現在研究、開発が進んでいる壁面調査ロボットについても簡単に触れさせていただきます。

2023/6/18

大規模修繕工事の18年周期について

わずか15年前に示された大規模修繕工事の12年周期

日本のマンションマネジメントの歴史は非常に短いものです。マンション管理の基本法の区分所有法が制定されたのが1962年です。高度経済成長を迎えマンションが大量供給され始めたのが1960~70年代です。当初は、建設ありきの時代で将来の大規模修繕工事のことなど想定する習慣などなかったことは、想像に難くありません。

そのつけはやがてきました。2000年前後には築30年を超えるマンションが「一度も大規模修繕工事を実施しておらず、工事をする修繕積立金もない」といった問題が頻発してしまいました。1986年にマンション管理センターから「マンションの修繕積立金算出マニュアル」が公表されその後、1993年に(株)リクルートコスモスが長期修繕計画に基づく修繕積立金を算定し販売してはいたものの1997年の標準管理規約の改正で初めて「長期修繕計画」という言葉が登場し、その作成が管理組合の業務の一つであると示されましたが、当然作成に関するノウハウもなく、内容・精度も客観性に欠けており、現実に全く則してないような計画も多々あったようです。
そこで、国土交通省が検討委員会を立ち上げ、2008年に公表したのが「長期修繕計画標準様式」とその「作成ガイドライン」です。この資料の中で、大規模修繕工事の周期の例示として12年程度という数字が使われたのが12年周期のはじまりです。わずか15年前に今のスタイルが始まったのです。いかにマネジメントというものの認識が低かったかが解ると思います。
「我が国」にこのコンクリートの区分所有住宅というスタイルが本当に国民性に於いて合っているのかということを考えさせます。

それ以降、新築マンションの長期修繕計画が版を押したように国土交通省のガイドラインに沿った設定となり、12年周期が世の中に定着したというわけです。マンション管理に関する問題は、市場経済を優先することで問題が起きれば後追いで対応策を取るという図式です。我が国のマンション管理の歴史はまだ1サイクルも経験していないのですから。デベロッパー側としても、国土交通省の方向性に沿うことで、リスクヘッジを考えこの長期修繕計画標準様式に素直に準拠して計画を初期設定してきたのが現在の12年周期の定着だと思います。

ガイドラインが公表された2008年以来、初めて改訂がなされたのが2021年です。その間に部材・建材の品質・耐久性能はかなり向上してきています。2021年の長期修繕計画標準様式の改訂で、ようやくこの「12年程度」が「12~15年程度」に伸びました。それでも15年です。これを18年まで伸ばせることは可能なのでしょうか?

大規模修繕工事を18年周期にする対応と実例

一般的なマンションの修繕サイクルは12年〜15年程度ですが、修繕周期を伸ばす高耐久化を目的とした仕様にすれば15〜18年に引き伸ばすことが可能です。昨今のマンションが抱える老朽化問題にともなって、各材料メーカーや工事会社等では期待耐用年数の長い製品の開発・研究に取り組んでいます。

一例として外壁塗装材はフッ素樹脂系塗料を使えば15年~20年位耐用します。シーリング材は表面を塗装してやるかシリル化アクリレート系シーリングであれば塗装無しでも18年位耐用するとされています。防水材については、屋根防水等は従来から適切に施工をすれば20~25年位耐用します(適時、部分補修や保護塗装の塗替えは必要になります)。また、バルコニー床等のウレタン塗膜の簡易防水も保護塗装をフッ素樹脂系を使用し、適切な塗膜厚を確保すれば18年位耐用します。

実例としては、UR都市機構があります。現在約1万5000棟のマンションを数十年も維持管理を続け、毎年何百件もの大規模修繕工事を実施していますので、そのノウハウと経験知は日本一であることは間違いないと考えます。そのUR都市機構が策定した修繕等実施基準の中で、これまでの実績をもとに、大規模修繕工事の周期を「18年」と定めています。私も短い期間でしたがUR団地再生支援業務の件で担当者等の方と話す機会がありましたがやはりその経験知は半端ではないと感じたことを覚えています。

また、マンション管理業界大手のの東急コミュニティーも、指定した仕様・工法を前提に、防水などの保証期間を従来よりも長期にするとともに、次回の大規模修繕工事の計画を最長18年後とする提案を開始しています。

さらには、野村不動産グループの管理会社である野村不動産パートナーズが自社基準での責任施工することを前提に16~18年周期の大規模修繕計画を提案し始めています。

もちろんすべてのマンションが18年周期で対応できるわけではありません。外壁がタイルの場合は浮きや剥落の問題がありますし高耐久化仕様にすればコストがかかります。そのあたりのバランス感覚も必要ですし信頼できる建設会社の選定も重要です。現実的には定期的なな小修繕・中修繕を実施しながら延長化を検討するケースがまだまだ多いのかも知れません。
しかし必要性も無いのに12年周期ごとに慣習だからといって実施することに正当性や合理性は一切ありませんし、マンションの住民にとっても経済的な面で負担を強いることになります。

重要なことは、大規模修繕周期を考える前提として、「そもそも現状、大規模工事が必要なのか?」を正しく判断することが重要です。このような調査を「劣化診断」と言いますが、施工会社や管理会社に依頼すると、どうしても大規模修繕工事の実施ありきの結果になりがちです。このような場合は、管理組合側の視点にたつ専門家に依頼することをおすすめします。

大規模修繕工事を18年周期とドローンの活用

最後に、大規模修繕工事を18年周期にしようとすると、外壁の全面打診等調査の周期(12年程度)とは合わないので、それらを切り離して別々に実施しなければなりません。
しかし、外壁の全面打診等調査のためだけに足場を組めば、修繕周期の長期化による費用削減効果を打ち消してしまうので、結局周期の長期化を断念するという事がおこります。今まではこの問題に対して効果的な対応がなかったのですが最近事情が変わりました。
それは政府の政策にも沿う「ドローン」の活用です。このドローンの活用については次回説明したいと思います。

2023/6/11

無料で手に入る行政機関のマンション管理書籍

管理組合様のご相談やマンション管理士派遣等に於いて感じることは、私たちが想像する以上に組合員の皆様はマンション管理に関する知識等をお持ちでない方が多数を占めるということです。野球でいえば基本のルールも知らずに試合に出ているという状態です。なにが正しくてなにか間違っているかも判断できない。間違っていることすらわからずに長年その対応をおこなっているという事例を何度も見てきました。

また管理会社担当者が知識や経験が低いため管理組合に間違った情報を伝えそれが正しいと思い長年その間違った対応を取り続けるという事も散見されます。(意図的に間違った情報を伝える場合もありますがこれはまた別の問題です。こちらの方が悪質かも知れませんが。)
マンション管理会社の言うことだから正しいと思う先入観は非常に危険です。
そもそもマンション管理に関する知識や経験、関連資格を取得しており勉強熱心で頼りになる担当者は一握りではないかと思います。

それでなくともこの業界は離職率が高くまったく畑違いの人間が研修もままならずいきなり担当者になるのが現実です。よく担当者がころころ変わるという言葉を耳にしますが素人同然の人間が物件を担当することになるのですからストレスも溜まり嫌にもなります。ただ研修をしっかりすれば大丈夫かというとこのフロントという職種は非常に属人性が高くその人の適正能力の有無が大きく影響するため入社して働かなければわからないという難しい職種でもあります。

しかしマンション管理に求められるスキルは決して簡単ではなく実務に関する法律だけを見ても民法を始め区分所有法、マンション管理適正化法、マンション立替法円滑化法、標準管理規約その他多数の法律が絡んできます。さらに会計知識や設備関係、大規模修繕関係などいくら時間があっても足りないと感じるボリュームです。しかも仕事をしながら関連資格の取得を求められます。

そのなかで管理業務の重要事項説明等で必要な「管理業務主任者」という資格は、必須資格ともいわれるものです。合格率は平均20%程度です。この管理業務主任者を取得するのもままならない担当者が多くいます。数回試験を受けて合格する場合もあれば挫折して退職する者もいます。やっと試験に合格してもそれだけでは知識としては先述した通り不十分なため関連資格の取得や自己投資しての書籍購入や知識習得等が求められます。
こうしたことを実践できる管理会社担当者がどの程度いるのかと言えば非常に少ないといえるのが実態だと思います。

年間通して様々な案件ややっかいな問題・トラブルが発生したとき安易に管理会社の見解や説明を鵜呑みにするのではなく管理組合側で一度確認するという事も重要だと思います。
今やインターネットで検索すればかなりの情報が入手できます。ただあまりにも情報が溢れているため何が正しくて何が間違っているかを見極めることが必要でこれが組合員の方達にとっては難しい場合もあると思います。

そこで今回福岡県の行政機関(福岡市、北九州市等)が無料で発行しているマンション管理に関する各書籍を是非活用していただきたいと考え以下にリンクを貼っておきます。
下手な市販書籍よりよくまとまっております。マンション管理の手引き他これが無料で手に入るのですから是非管理組合に1冊用意していただきたいと思います。書籍自体は数が限られており市民センター等に置いているようですがPDFでダウンロードできますのでこちらで対応されるのが良いかもしれません。
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/ken-to/file_0615.html

2023/6/5

驚異!京都市管理計画認定制度第1号の自主管理組合

自主管理でありながら47年以上経過しても資産価値が下がらないマンション
京都市にある西京極大門ハイツ

今回は、京都というより日本を代表する自主管理組合のご紹介をさせていただきます。マンション管理に知見のある方であればこのマンションを知らない人はまずいないと思います。そのマンションは、京都市左京区にある西京極大門ハイツ管理組合法人という築47年を経過した7階建て総戸数190戸のマンションになります。決して高級マンションでもなければ駅前一等地のマンションでもない普通のマンションです。京都市管理計画認定制度第1号のマンションとしてまた様々なマスコミ、研究論文、京都環境賞受賞など全国でも注目の自主管理マンションです。

私は、自主管理でありながら40年以上経過しても資産価値が下がらず売買になればすぐに買い手が決まるというその経営感覚に驚きました。マンション組合運営に経営感覚なんているのという方は、是非この西京極大門ハイツのことを勉強してみてください。たしかに営利を追求する民間企業ではありませんが多くの方が生活しその集合体を維持し陳腐化させないためには企業努力にも似た手法が重要だと感じられると思います。

とてもこのブログのなかで全てお伝えすることはできませんがあえて一つだけお伝えするとすればこのマンションは、高齢化社会の到来に備えて独自の「リバースモーゲージ」を導入しているということです。他にも四季に応じた行事、日曜喫茶、文庫コーナーなど様々な取り組みを行っているようですが何と言っても大きな特色は独自の「リバースモーゲージ」だと感じています。

リバースモーゲージとは何?という方もいらっしゃるかもしれませんが簡単に言うと自宅に住み続けながら、その自宅を担保に老後資金を借りることができるというサービスです。各都道府県の社会福祉協議会や金融機関が取扱いをしていることが特徴です。メリット、デメリットがありますがここでは説明を省略させていただきます。ご興味のある方は各自で調べてみてください。参考までにリースバックやリバースモーゲージ型住宅ローンなどの類似商品がありそれぞれ特徴があります。

一般的に金融機関等が扱うリバースモーゲージは、利ザヤを含めてあくまで営利目的でサービスを提供するため資産価値の維持が保証されにくいマンションは敬遠されがちであり、管理組合法人はこの問題点を克服するため管理組合法人自身がこのサービスを提供するという管理組合側の視点に立脚した運営を行っている点が特徴でこのリバースモーゲージを核として付随するサービスを様々展開しています。
これらの管理組合側の視点に立脚した経営感覚が管理組合法人の組織としての結束力を高め管理会社に依存しなくても資産価値を低下させずに運営できているのではないかと思います。
元々は管理会社が管理を実施していたようですが途中から自主管理に代わり今に至っているようです。むしろ自主管理組合だからこの経営感覚を実現できたのかもしれません。

ここ北九州市は、自主管理組合が他地域より多く存在します。是非このような事例もあるということを認識していただき安易に管理会社に全面依存されずにみなさんでもう一度蘇らせる組合運営を目指して頂くことを切に願います。そこに住んでおられる住民以上にマンションのことを真剣に考える方たちはいないと考えていますので頑張っていただければと思います。

2023/5/31

機械式駐車場の今後のありかたについて    

代表の私が、管理会社勤務時代にトラブル関係で頭を痛めたものに機械式駐車場トラブルがあります。新築の間はそれ程でもないのですが年数が経つにつけトラブルの頻度と部品交換等の維持費がかさばり始めます。しかも操作頻度が集中する朝夕の時間帯に故障したりすると本当に大変です。組合員の方には他の交通手段を利用して頂くことになります。この時の10分は1時間以上の感覚になります。実際にトラブルに合われ方は実感されていることと思います。
本来管理組合にとって機械式駐車場は、貴重な収入をもたらす稼ぎ頭と言いたいところですが、老朽化に伴う維持費や車離れ、最近主流となってきた車高の高いSUVやミニバン等がスペース関係で使えない等厳しい時代になりつつあります。

今後確実に車の保有台数は減少し駐車場の空き区画が増加する

ひと昔前、「駐車場完備率100%!」というのを分譲マンションのセールストークでよく見かけました。その当時は若者も車を持つことが一つの夢でありマイホームとマイカーをセットで考える時代でした。ところが自動車の保有台数は、2000年ごろから、横ばい傾向へと変化してきました。その一方で、市街地の駐車場の台数は増え続けていることから、駐車場需要が相対的に低下してきているといえます。

さらに高齢化社会で免許返納をされる方の増加、若者の車離れ、タイムズなどのカーシェアリングの普及など、ここ10~20年は自動車を保有しようとする動機が相対的に弱くなってきています。また、先述したように機械式駐車場特有の弱点として、最近主流の車高の高いSUVやミニバンが標準的な機械式駐車場の仕様では入らない、ということで、敷地外に駐車場を確保しているといった事例も聞いています。

このような状況がつづけば、区画数に応じた駐車場収入が入らず、管理組合の収入減に直結します。機械式駐車場の長期修繕計画にも影響を与え独立採算で見た場合、赤字に転じるマンションも増えてくることが予想されます。このことを裏付けるようにトヨタ自動車グループのシンクタンクが2019年の保有台数に対して2030年で約-10%、2035年には約-13%に減少すると予測されています。

このような状況を踏まえ、今後中長期的な視点にたち機械式駐車場は、維持費の抑制さらには平面化等を検討すべきなのではないでしょうか。

機械式駐車場の平均的な維持費はどれくらいかかるのか?

一般的に機械式駐車場は、金食い虫と言われるように維持のためのコストが多くかかります。

2021年9月に国土交通省が改訂した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に一般的な機械式駐車場の修繕費が掲載されています。(機械式駐車場の1台あたり月額の修繕工事費)

国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン 令和3年9月改訂
機械式駐車場の機種機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たり月額)
2段(ピット1段)昇降式6,450円/台・月
3段(ピット2段)昇降式5,840円/台・月
3段(ピット1段)昇降横行式7,210円/台・月
4段(ピット2段)昇降横行式6,235円/台・月
エレベーター方式(垂直循環方式)4,645円/台・月
その他5,235円/台・月

この金額に、一般管理費に含まれる年間の維持・点検費用(1区画当たり標準月額1,000~3,000円程度)を足した金額が、1区画当たりの維持コストの目安となると思います。問題なのは空き区画が発生してもこの費用は変わらないので空き区画が増えれば増えるほど、無駄な維持費を払い続ける収支状況になります。

平置きの駐車場であれば、通常の維持費はほぼかからないので、空き区画があっても駐車場収入の減少だけになりますが、機械式駐車場は、さらに維持・修繕工事費が必ずかかりますので、空き区画は収支状況を更に悪化させる要因となります。

駐車場使用料の本来の運用方針と実際に行っている管理の現実

過去に何度も機械式駐車場のあるマンションを独立採算で試算してみたことがありますが、多くは駐車場使用料が年間の維持点検費を上回っていました。この事実だけを見ればこの上回った分を修繕費として積み立てれば、大きな修繕積立金不足などの問題は起きにくいと思います。
国土交通省が提示する標準管理規約でも、「駐車場使用料は、その管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる」とあります。皆さんのマンションの規約も同様の条文になっている場合も多いのではないでしょうか?

しかし現実のマンション管理では、修繕積立金に回る余裕のある所は少なく、一般管理費に充当されているケースがほとんどです。特に管理会社に委託している場合では、駐車場使用料を一般管理費に回さなければ、年間収支が赤字になってしまう場合も多いのではと感じます。

このように国土交通省が提示する標準管理規約とは相反する運用が行われている背景には、新築販売時に一般管理費を低く抑えることで販売をスムーズに行いたいと考える企業の考えがあるのだと感じます。それでなくともマンション購入時には家具の新調などいろいろお金がかかります。そのため消費者心理を意識しての販売戦略が管理開始後に皆さんに負担となって現れてきます。

この問題の解決は、管理費を適正金額に改定しなければ難しく仮に改定するにしても各支出項目の精査も必要になり実際にどれだけの管理組合が対応できるのかという問題もあります。

現実的には、機械式駐車場は、毎年維持修繕費が発生し定期的に大規模な修繕工事も必要なことから管理費改定の議論は別として、将来的に駐車場の需要減少と維持修繕のコストのバランスが崩れることが予想されれば、駐車料金の値上げは避けたいというのが本音だと思いますので、保守会社の見直し及び修繕サイクルの見直し、または管理費等の支出削減もしくは将来の駐車場平面化等何らかの手を打たなければ将来負の財産になりかねません。
今後ニーズが増える機械式駐車場の平面化については、別の機会で説明したいと思います。
まずは、この問題を先送りせず早めに管理組合の継続審議事項として取り組まれることをお勧めします。

2023/5/26
運営:綜合事務所ネクストステージ
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