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大規模修繕工事の18年周期について

わずか15年前に示された大規模修繕工事の12年周期

日本のマンションマネジメントの歴史は非常に短いものです。マンション管理の基本法の区分所有法が制定されたのが1962年です。高度経済成長を迎えマンションが大量供給され始めたのが1960~70年代です。当初は、建設ありきの時代で将来の大規模修繕工事のことなど想定する習慣などなかったことは、想像に難くありません。

そのつけはやがてきました。2000年前後には築30年を超えるマンションが「一度も大規模修繕工事を実施しておらず、工事をする修繕積立金もない」といった問題が頻発してしまいました。1986年にマンション管理センターから「マンションの修繕積立金算出マニュアル」が公表されその後、1993年に(株)リクルートコスモスが長期修繕計画に基づく修繕積立金を算定し販売してはいたものの1997年の標準管理規約の改正で初めて「長期修繕計画」という言葉が登場し、その作成が管理組合の業務の一つであると示されましたが、当然作成に関するノウハウもなく、内容・精度も客観性に欠けており、現実に全く則してないような計画も多々あったようです。
そこで、国土交通省が検討委員会を立ち上げ、2008年に公表したのが「長期修繕計画標準様式」とその「作成ガイドライン」です。この資料の中で、大規模修繕工事の周期の例示として12年程度という数字が使われたのが12年周期のはじまりです。わずか15年前に今のスタイルが始まったのです。いかにマネジメントというものの認識が低かったかが解ると思います。
「我が国」にこのコンクリートの区分所有住宅というスタイルが本当に国民性に於いて合っているのかということを考えさせます。

それ以降、新築マンションの長期修繕計画が版を押したように国土交通省のガイドラインに沿った設定となり、12年周期が世の中に定着したというわけです。マンション管理に関する問題は、市場経済を優先することで問題が起きれば後追いで対応策を取るという図式です。我が国のマンション管理の歴史はまだ1サイクルも経験していないのですから。デベロッパー側としても、国土交通省の方向性に沿うことで、リスクヘッジを考えこの長期修繕計画標準様式に素直に準拠して計画を初期設定してきたのが現在の12年周期の定着だと思います。

ガイドラインが公表された2008年以来、初めて改訂がなされたのが2021年です。その間に部材・建材の品質・耐久性能はかなり向上してきています。2021年の長期修繕計画標準様式の改訂で、ようやくこの「12年程度」が「12~15年程度」に伸びました。それでも15年です。これを18年まで伸ばせることは可能なのでしょうか?

大規模修繕工事を18年周期にする対応と実例

一般的なマンションの修繕サイクルは12年〜15年程度ですが、修繕周期を伸ばす高耐久化を目的とした仕様にすれば15〜18年に引き伸ばすことが可能です。昨今のマンションが抱える老朽化問題にともなって、各材料メーカーや工事会社等では期待耐用年数の長い製品の開発・研究に取り組んでいます。

一例として外壁塗装材はフッ素樹脂系塗料を使えば15年~20年位耐用します。シーリング材は表面を塗装してやるかシリル化アクリレート系シーリングであれば塗装無しでも18年位耐用するとされています。防水材については、屋根防水等は従来から適切に施工をすれば20~25年位耐用します(適時、部分補修や保護塗装の塗替えは必要になります)。また、バルコニー床等のウレタン塗膜の簡易防水も保護塗装をフッ素樹脂系を使用し、適切な塗膜厚を確保すれば18年位耐用します。

実例としては、UR都市機構があります。現在約1万5000棟のマンションを数十年も維持管理を続け、毎年何百件もの大規模修繕工事を実施していますので、そのノウハウと経験知は日本一であることは間違いないと考えます。そのUR都市機構が策定した修繕等実施基準の中で、これまでの実績をもとに、大規模修繕工事の周期を「18年」と定めています。私も短い期間でしたがUR団地再生支援業務の件で担当者等の方と話す機会がありましたがやはりその経験知は半端ではないと感じたことを覚えています。

また、マンション管理業界大手のの東急コミュニティーも、指定した仕様・工法を前提に、防水などの保証期間を従来よりも長期にするとともに、次回の大規模修繕工事の計画を最長18年後とする提案を開始しています。

さらには、野村不動産グループの管理会社である野村不動産パートナーズが自社基準での責任施工することを前提に16~18年周期の大規模修繕計画を提案し始めています。

もちろんすべてのマンションが18年周期で対応できるわけではありません。外壁がタイルの場合は浮きや剥落の問題がありますし高耐久化仕様にすればコストがかかります。そのあたりのバランス感覚も必要ですし信頼できる建設会社の選定も重要です。現実的には定期的なな小修繕・中修繕を実施しながら延長化を検討するケースがまだまだ多いのかも知れません。
しかし必要性も無いのに12年周期ごとに慣習だからといって実施することに正当性や合理性は一切ありませんし、マンションの住民にとっても経済的な面で負担を強いることになります。

重要なことは、大規模修繕周期を考える前提として、「そもそも現状、大規模工事が必要なのか?」を正しく判断することが重要です。このような調査を「劣化診断」と言いますが、施工会社や管理会社に依頼すると、どうしても大規模修繕工事の実施ありきの結果になりがちです。このような場合は、管理組合側の視点にたつ専門家に依頼することをおすすめします。

大規模修繕工事を18年周期とドローンの活用

最後に、大規模修繕工事を18年周期にしようとすると、外壁の全面打診等調査の周期(12年程度)とは合わないので、それらを切り離して別々に実施しなければなりません。
しかし、外壁の全面打診等調査のためだけに足場を組めば、修繕周期の長期化による費用削減効果を打ち消してしまうので、結局周期の長期化を断念するという事がおこります。今まではこの問題に対して効果的な対応がなかったのですが最近事情が変わりました。
それは政府の政策にも沿う「ドローン」の活用です。このドローンの活用については次回説明したいと思います。

2023/6/11

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