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ドローンによる外壁調査(12条点検)について

外壁全面調査はドローンによる赤外線カメラを活用

前回大規模修繕工事を18年周期にすることになれば、「12条点検」の問題が出てくると説明しました。この「12条点検」とは、建築基準法第12条に定められる建築物の定期報告義務のことです。

大規模修繕工事の周期は前回でも説明した通り、特に法令などで定められたものはありませんが、それと同時に実施することの多い外壁の劣化調査は、建築基準法の第12条で定期報告が定められています。
竣工後10年を超えた、もしくは前回の全面打診等調査または外壁の全面修繕工事後10年を超えた次の定期報告までに、歩行者等に危害を加えるおそれのある外壁の全面打診等調査が義務づけられています。

通常3年ごとに行う特殊建築物定期調査の実施年に合わせて全面打診の調査を計画することが一般的ですが現実には予算の問題もあり大規模修繕工事の際に行うケースが多いと思われます。行政機関には、一例として「現在計画中であり○○後には実施予定」の旨の補足説明を報告書に記載して提出するという形をとっていると考えます。しかしこの手法はリスクがあり実際に外壁が落下して被害が出た場合責任問題に発展しかねません。

この前面打診が義務付けられたきっかけが実は、平成元年11月ここ北九州市の10階建住宅都市整備公団の建物屋上付近から壁が崩落し、2名が死亡1名が重症を負う痛ましい事故が発生し、その後も幾度か外壁落下事故が発生したことによります。こうした事態を受けて平成20年4月建築基準法の改正により外壁の全面打診点検が義務付けられました。

現状、外壁の全面打診等調査は、これまでは足場を組んで作業をするのが一般的でした。足場の仮設工事はそれだけで大きな時間と費用がかかることから、現実には、大規模修繕工事に必要な足場を利用して、工事の前に実施するのが一般的です。打診調査で補修が必要な箇所をマーキングし、補修を実施するという流れを考えても合理的だと思われます。このほか従来から赤外線カメラを活用した方法も取られています。

マンションから20〜30m離れた場所から手持ちの赤外線カメラで撮影するという方法です。しかし高層階になると精度が落ちるという問題があります。この赤外線カメラで精度の高いデータを得るには、壁面に対しできるだけ垂直に近い方向から撮影する必要があり、地上からの撮影ではマンションが高層階なるほど壁面に対する角度がついてしまうことで精度が落ちるのです。
望遠レンズをつけて離れて撮影すれば角度の問題は解消されますが、距離が離れることで熱エネルギーを捉えにくくなるため、やはり正しいデータを取れにくいとうのが実情です。
また天候にされやすい事や浮きや割れが認識しにくいこと、隣接する建物との距離が近い場合は撮影が困難なことなど問題がありす。

この赤外線をカバーする方法としてロープアクセスという作業員が2本のロープで身体を支えながら調査する外壁調査を併用する場合もあります。但しこのロープアクセスも対応できない作業場所があったり安全面で対策が必要であるなど課題もあります。また広範囲にわたり打診する場合は仮設足場での作業より費用が高くなる可能性もあります。

この問題点を解消できるのが近年話題のドローンを活用した赤外線カメラによる調査です。
ドローンに赤外線カメラを取り付け調査を行うことで、赤外線データを取れる範囲内の距離、壁面に対し垂直方向に近い位置を保ちながら撮影できます。
理想的なポジションから撮影することで従来の問題点を解消し高精度なデータを得られます。
ドローンは足場を必要とせず、ロープやゴンドラと比べても低コストです。

国の重点施策に沿うドローンを活用した赤外線調査

実は、日本政府の成長戦略会議において、実行計画の項目の一つとしてドローンの活用が以下のように明記されています。

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第2章 新たな成長の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備
5.デジタル技術を踏まえた規制の再検討
(3)建築分野
 外壁調査を行う赤外線装置を搭載したドローンについて、残された課題の検証を本年度に行う。一級建築士等による打診調査と同等以上の精度を確認の上、制度改正を行い、来年度以降、建築物の定期検査における外壁調査で使用可能とする。
2021年6月18日 成長戦略実行計画 内閣官房
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この計画を受け、翌年2022年、国土交通省から発表があり、いわゆる12条点検における外壁の全面打診を規定した国土交通省告示第282号の一部を改正して、打診以外の調査方法として、ドローンによる赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものを明確化しました。適正な調査であれば打診調査と同等ということを国が打ち出しているのです。
調査手法として国のお墨付きがあり、国の政策にも沿うドローンの活用は今注目を浴びていると言えるのです。

大規模修繕工事を18年周期にすることで12条点検の問題点であった費用の問題がこのドローンを活用した赤外線調査で軽減でき且つ精度についても国が認めてくれるのであれば今後検討をしていく管理組合も増加すると考えます。

今回はここまでで終わりにさせていただき次回は、ドローンを活用したメリットとデメリット、注意点また現在研究、開発が進んでいる壁面調査ロボットについても簡単に触れさせていただきます。

2023/6/18

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