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機械式駐車場の今後のありかたについて    

代表の私が、管理会社勤務時代にトラブル関係で頭を痛めたものに機械式駐車場トラブルがあります。新築の間はそれ程でもないのですが年数が経つにつけトラブルの頻度と部品交換等の維持費がかさばり始めます。しかも操作頻度が集中する朝夕の時間帯に故障したりすると本当に大変です。組合員の方には他の交通手段を利用して頂くことになります。この時の10分は1時間以上の感覚になります。実際にトラブルに合われ方は実感されていることと思います。
本来管理組合にとって機械式駐車場は、貴重な収入をもたらす稼ぎ頭と言いたいところですが、老朽化に伴う維持費や車離れ、最近主流となってきた車高の高いSUVやミニバン等がスペース関係で使えない等厳しい時代になりつつあります。

今後確実に車の保有台数は減少し駐車場の空き区画が増加する

ひと昔前、「駐車場完備率100%!」というのを分譲マンションのセールストークでよく見かけました。その当時は若者も車を持つことが一つの夢でありマイホームとマイカーをセットで考える時代でした。ところが自動車の保有台数は、2000年ごろから、横ばい傾向へと変化してきました。その一方で、市街地の駐車場の台数は増え続けていることから、駐車場需要が相対的に低下してきているといえます。

さらに高齢化社会で免許返納をされる方の増加、若者の車離れ、タイムズなどのカーシェアリングの普及など、ここ10~20年は自動車を保有しようとする動機が相対的に弱くなってきています。また、先述したように機械式駐車場特有の弱点として、最近主流の車高の高いSUVやミニバンが標準的な機械式駐車場の仕様では入らない、ということで、敷地外に駐車場を確保しているといった事例も聞いています。

このような状況がつづけば、区画数に応じた駐車場収入が入らず、管理組合の収入減に直結します。機械式駐車場の長期修繕計画にも影響を与え独立採算で見た場合、赤字に転じるマンションも増えてくることが予想されます。このことを裏付けるようにトヨタ自動車グループのシンクタンクが2019年の保有台数に対して2030年で約-10%、2035年には約-13%に減少すると予測されています。

このような状況を踏まえ、今後中長期的な視点にたち機械式駐車場は、維持費の抑制さらには平面化等を検討すべきなのではないでしょうか。

機械式駐車場の平均的な維持費はどれくらいかかるのか?

一般的に機械式駐車場は、金食い虫と言われるように維持のためのコストが多くかかります。

2021年9月に国土交通省が改訂した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に一般的な機械式駐車場の修繕費が掲載されています。(機械式駐車場の1台あたり月額の修繕工事費)

国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン 令和3年9月改訂
機械式駐車場の機種機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たり月額)
2段(ピット1段)昇降式6,450円/台・月
3段(ピット2段)昇降式5,840円/台・月
3段(ピット1段)昇降横行式7,210円/台・月
4段(ピット2段)昇降横行式6,235円/台・月
エレベーター方式(垂直循環方式)4,645円/台・月
その他5,235円/台・月

この金額に、一般管理費に含まれる年間の維持・点検費用(1区画当たり標準月額1,000~3,000円程度)を足した金額が、1区画当たりの維持コストの目安となると思います。問題なのは空き区画が発生してもこの費用は変わらないので空き区画が増えれば増えるほど、無駄な維持費を払い続ける収支状況になります。

平置きの駐車場であれば、通常の維持費はほぼかからないので、空き区画があっても駐車場収入の減少だけになりますが、機械式駐車場は、さらに維持・修繕工事費が必ずかかりますので、空き区画は収支状況を更に悪化させる要因となります。

駐車場使用料の本来の運用方針と実際に行っている管理の現実

過去に何度も機械式駐車場のあるマンションを独立採算で試算してみたことがありますが、多くは駐車場使用料が年間の維持点検費を上回っていました。この事実だけを見ればこの上回った分を修繕費として積み立てれば、大きな修繕積立金不足などの問題は起きにくいと思います。
国土交通省が提示する標準管理規約でも、「駐車場使用料は、その管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる」とあります。皆さんのマンションの規約も同様の条文になっている場合も多いのではないでしょうか?

しかし現実のマンション管理では、修繕積立金に回る余裕のある所は少なく、一般管理費に充当されているケースがほとんどです。特に管理会社に委託している場合では、駐車場使用料を一般管理費に回さなければ、年間収支が赤字になってしまう場合も多いのではと感じます。

このように国土交通省が提示する標準管理規約とは相反する運用が行われている背景には、新築販売時に一般管理費を低く抑えることで販売をスムーズに行いたいと考える企業の考えがあるのだと感じます。それでなくともマンション購入時には家具の新調などいろいろお金がかかります。そのため消費者心理を意識しての販売戦略が管理開始後に皆さんに負担となって現れてきます。

この問題の解決は、管理費を適正金額に改定しなければ難しく仮に改定するにしても各支出項目の精査も必要になり実際にどれだけの管理組合が対応できるのかという問題もあります。

現実的には、機械式駐車場は、毎年維持修繕費が発生し定期的に大規模な修繕工事も必要なことから管理費改定の議論は別として、将来的に駐車場の需要減少と維持修繕のコストのバランスが崩れることが予想されれば、駐車料金の値上げは避けたいというのが本音だと思いますので、保守会社の見直し及び修繕サイクルの見直し、または管理費等の支出削減もしくは将来の駐車場平面化等何らかの手を打たなければ将来負の財産になりかねません。
今後ニーズが増える機械式駐車場の平面化については、別の機会で説明したいと思います。
まずは、この問題を先送りせず早めに管理組合の継続審議事項として取り組まれることをお勧めします。

2023/5/26

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